合併や統合を迫られる医療機関
ボストンはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などいくつもの大学が所在する大学町として有名なところです。ここにはアメリカでもトップレベルを誇るベス・イスラエル病院があります。ベス・イスラエル病院はハーバード大学の教育病院です。
私は,当病院のM・ラブキン院長とは30年来の親密なお付き合いをしており,ほぼ毎年のようにボストンを訪れてアメリカの医療情報を入手してきました。ラブキン院長は35歳の時にこの病院の院長に迎えられ,それ以来30年もの間院長を務められ,アメリカで初めて「患者の権利を守る確約書」を策定した人として,またプライマリ・ナーシングを取り入れた病院管理者として有名です。
ベス・イスラエル病院は,1916年に創設された495床のユダヤ系の病院でした。このように歴史もあり,ハーバード大学の教育病院として高い医療レベルを誇っていた病院でも,アメリカの厳しい病院競争の中で,ハーバード大学との連携を密にしてこれまでどおりの名声を確保して生き残るためにさまざまな改革の波に洗われていました。
1996年,ベス・イスラエル病院は隣接ブロックにある297床のディコネス総合病院と合併し,ベス・イスラエル・ディコネス・メディカルセンターという長い名前がつきました。ディコネス総合病院も1816年に創設された由緒ある病院で,ベス・イスラエル病院と同じくハーバード大学の教育病院でした。
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