?.変革迫られる医療の状況
激変するアメリカの医療
21世紀は,わざわざ医療機関に足を運ばなくてもよいような健康サービスが国民に提供される時代になるでしょう。それはなぜかというと,いまの日本のような医療システムでは,財政的にも患者サービスという点でもやっていけないところに至っているのが明らかだからです。
財政の面では,みなさんもよくご存じのように,超高齢化社会に突入したわが国の医療費は1997年度で27兆円,2010年には54兆円と予測され,いまや介護保険の導入に始まり,自己負担による医療費支払いの政策がとられつつあります。 また,患者サービスの面では,いまのような3時間待ちの3分診療では患者さんの病歴を詳しく聞くこともままならず,患者さんに満足を与えられるような医療は提供できるはずもありません。日本の医療の行きつく先を,私たちは現在のアメリカにつぶさに見ることができます。
1997年の暮れから1998年の初めにかけて私はアメリカ東部のボストンやニューヨークの激変している医療事情を実地に見てきましたので,まずその状況をお話ししましよう。
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