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研修に手応えと充実感

社会保険神戸中央病院
加勢川幸子 

 今回の研修を振り返り、私の今後の看護についてまとめたいと思う。
緩和ケアナース養成研修に参加するにあたっての目標は、緩和ケアナースとしての知識・自覚をより深め、勤務先のPCUで中堅ナースとしての実践・スタッフ指導・情報交換が行えるということだった。その中でも、ターミナル期の病態生理の再学習、患者・家族への関わり(サポート)について、他の施設での緩和医療の実際を知ることが大きな目的でもあった。
 2か月の研修は私にとって大変ゆとりあるスケジュールであったが、内容は濃厚なものだった。居心地もよかったため終了するのが惜しいくらいである。
 多忙な勤務の中では、自己学習が怠りやすく焦りを感じていたので、研修に参加できて本当に良かったと思う。また、所属病院には忙しい中研修に行かせてもらい、感謝の気持ちで一杯である。その分病棟にもどってからは学んだことを生かし、分かち合えるよう努めたいと思っている。
           
 講義初日の「文献検索」では、図書館について無知な自分に気付かされ、今後図書館利用にあたりプラスになる点が多くあった。「腫瘍学」は最も苦手な分野だったが今回の講義で興味がもて、もう少し勉強してみたいと思っている。「進行がん患者の心理的特徴と援助1・2・3」では、危機モデルの実践でチームワークも深まり、精神症状の援助法もケースを交え対応のヒントがいろいろもらえた。スピリチュアルペインは非常に楽しみにしていた講義の一つだったが、期待通りの内容で3時間では短く残念だった。講義の中で沼野先生がおっしゃられた「私たちは患者・家族にとって最後に出会う医療者である」という言葉の重みをいつもかみしめて看護していきたいと思う。
 「緩和医療」は基本の繰り返しとなり、今後の緩和ケアの質の向上に私もできる限り努力したい。
 「がん患者の家族への援助1・2」では、「家族とは基本的には自分でやっていける人たち」という言葉が印象に残ったが、今までの私は全く反対のように理解していたのかもしれない。あまりにも私たち看護婦が何かしてあげなくてはという思い込みが大きかったことに気付かされ、押し付けの関わり・看護になってなかったかと反省させられた。
 今後は方向性を指し示す援助を念頭に家族に関わっていこうと思っている。
 「緩和ケアにおける医療・福祉・看護に関わる社会資源の活用」は、知識向上につながり、MSWの仕事の重要性が改めて理解できた。これも今後のチームアプローチにプラスとなり得る。
 最後にふさわしい内容であった「コミュニケーション論1〜4」では、ロールプレイを通して自分のコミュニケーション技術や不足している点が分かり、今までたやすく共感・傾聴すると口にしていた自分に対して恥ずかしく感じた。講義の後は落ち込みもしたがロールプレイにより気付かされた点が多く、今後自分の不足していた点を訓練していきたいと思う。また、自分の施設のスタッフにも、こういった研修会への参加を一番に勧めたいと思った。
           
 2週間のホスピス実習は、目的でもあった他施設の緩和医療の実際や看護についてもいろいろ気付くことができた。また、スタッフとの情報交換の場となり有意義なものとなった。他施設を知ることによって私の所属するPCUの不足点・良い点に気付けたし、ケアプログラムは同じだがホスピスとPCUの雰囲気の違いなども私なりに感じ取れ、学びが多かった。
           
すべての研修内容を振り返ってみて、研修目標以上に学びが多かったという手応えと充実感がある。

 

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