研修の概要
はじめに
この緩和ケアナース養成研修は、神戸研修センターが開設(平成10年7月25日)されてからの最初の研修であり、神戸研修センターとしては記念すべき研修であった。
研修のねらいは「緩和ケアの基本的考え方を理解し、専門的知識技術を習得して実践能力を高める」ということである。それを充足するためのプログラムを清瀬の研究・研修センターと共通の学習目標に沿って作成した。そのプログラムに沿って行われた実施状況、研修の評価を報告する。
実施期間 平成10年10月12日〜12月8日
受講者 20人
実施状況
学習目標の1としての「緩和ケアの理念を理解する」ために“緩和医療の基本的な考え方、緩和ケアの基本理念、緩和ケアにおける看護の役割・特徴”などの講義がなされた。
研修に先立って「緩和ケアに対する考え方の事前のアンケート」をとり、研修生の考え方を知ること、学習効果を見ることの参考にした。
緩和医療に関しては、緩和医療の目指すものとして、全人的ケア、QOL、チーム医療、継続ケア、家族ケア。緩和医療を実践する姿勢としては誠実、完成、忍耐、謙遜,真の愛。受講生はこれらをキーワードとしてとらえ、自分の施設、これまでの自分の看護と照らし合わせ、考えさせられていたようである。
緩和ケアに関しては、受講生はキーワードをトータルペイン、ホスピスの家、緩和ケアナースの役割ととらえていた。また、自分たちのしていることを伝えること、看護婦の立場としての意見がきっちりと言えることの大切さを感じ取っていた。
また生命倫理、看護倫理に関してはキーワードはインフォームドコンセント、自己決定ととらえていた。倫理は普遍的なものではなく、時代により変化することを知った上で医療の現場にあっては、倫理的に正しい行為であるかどうかを自分に問いかける必要がある。
研修目標の2として「緩和ケアに必要な知識、技術を習得する」に関しては腫瘍学、各症状のコントロール、コミュニケーション論、社会資源の活用の講義を受けた。
腫瘍学はがんと付き合うための第一歩である。緩和ケアが「がんを持っている」患者さんのケアであるから「がん」を十分理解しなければそのケアは成り立たない。キーワードは遺伝子、合併症、Evidence-basedMedicineととらえていた。
症状緩和のために、症状の病態を理解し「症状は患者が主体となって取り組む」という考え方が症状マネジメントの講義であった。キーワードは症状マネジメント、セルフケア、モデルの活用ととらえていた。疼痛のコントロールではキーワードをWHO方式疼痛治療指針、鎮痛補助薬、副作用ととらえていた。また、
目次へ 次ページ