スピリチュアルペイン
スピリチュアルペインを理解しようとするとき、宗教的な観念から考えるのは一つの方法である。
精神的な痛みと分けて考えられず、一緒になっていた時期もあったが、何人もの患者さんを見ていくうちに、確かに別に存在し得るものであると思い始めた。私は無宗教であり、入院してこられる患者さんもほとんどは宗教は持っていない。しかし、多くは正月は神様に御参りし、葬式では仏様になれるよう拝み、教会で結婚式を挙げる人もある。皆、目に見えない何かを信じ、すがり、信仰心は持っているのではないだろうか。それによって、自分が死ぬことをどのように捕らえているのかが違ってくる。緩和ケアには宗教は必ずしも必要ではないが、個人の宗教観は必要である。生きる、そして死ぬことを自分なりに捕らえていない看護者にはスピリチュアルペインは理解できず、緩和ケアはできないと思う。
とはいうものの、実のところ、スピリチュアルペインは、つかみどころがないという感がある。
布を一枚かけた上から触っている感じなのである。
理解していく上では、想像力を働かせ、人生経験、臨床経験を積み重ねていかなければならない。
患者の訴えをそのまま受け取れるかは、緩和ケアの第一歩であり、そこから症状緩和が始まる。
宗教観を持ってケアする、つまり、見返りを期待しないという気持ちを常に持っていたいと思う。
チームアプローチ
チームナーシングと言われるように、看護に当たっては、チームを組んでのアプローチが大切である。また、病棟スタッフ、そして病院全体で連係プレーがとれるように心がけなければならない。
毎日のカンファレンスの場を有効に活用するには、短時間で有効な話し合いを持つための事前の準備が大切であるとともに、話し合いに参加しないスタッフへの情報提供と、話し合われたことが実践に結びついているかの確認作業を怠ってはならない。そのためには日頃から、こまめな情報交換を行い、一人ひとりが問題提起をし、全員の問題意識を高めていくことが必要となり、カンファレンスを行うことの目的の達成へとつながる。
プライマリーナーシングでは、プライマリーナースとともに、毎日の受け持ちスタッフの観察の視点や、関わったスタッフからの情報提供を活用していくために、スタッフ間の円滑なコミュニケーションが基本であると感じた。周囲の協力があってこそのプライマリーナーシングであり、チームアプローチにたどり着くと思う。
実習病院では、病院全体の行事に事務部門や、管理部門も積極的に関わっており、コミュニケーションのよさと力の大きさを実感した。目的を同じくすることで、力を合わせられるのだろう。人にものを伝える努力を続けていきたいと思う。
前ページ 目次へ 次ページ