おわりに
研修前、緩和ケアとは何だろうと、疑問を抱いていた。緩和ケア病棟でなければ、緩和ケアはできないのだろうかと。
緩和ケア病棟に入院されるのは、自分で選択されてきた方ばかりであった。決定までのプロセスを聞くと、私が思っていた以上の医療や病院への不満や、辛い思いが吹き出してくる。選択するまでの関わりの方が大切なのではないかと思い、その部分へ関われる場所に移った方がよいのだろうかとも思っていた。
しかし、選択後の患者やその家族もいつも悩んでおり、何らかの援助を必ず必要としている。そして、看護職者の人数や、スペースの問題、各職種の専門性を考えたときには、緩和ケア病棟は、外科や内科や、臓器別に分かれている病棟のように一単位と考えればいいのではと思うようになった。チームの中で、患者さんが中心の、広い意味においての症状コントロールは、緩和ケア病棟の得意とするところである。病棟が病院の中でどのような位置づけになっていて、周囲からはどのように理解されているか、そしてどのようなことが求められているかを考えながら、看護にあたりたい。そして、緩和ケアの理念を広める努力をしていきたい。
自分自身の考えをまとめるにあたって、いろいろな分野の講義や、他の緩和ケア病棟の話、そして、実習はとても有意義であった。受講生の間でのディスカッションの有効性も肌で感じることができた。できれば、この研修がまだ続いてくれたらとも思う。人生の中でも有意義な時間であった。

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