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 現在、私の施設において、緩和ケアが目的の患者さんを受け入れているが、患者さん自身が入院の目的を認識しているケースがほとんどなく、ご家族の意向によることが多い。そのため、患者さんに、ご家族が告知を拒むことが多く、患者さんへのインフォームド・コンセントがされにくい。施設に帰って、私たちの精神腫瘍学の認識を深めるとともに、現実の問題を捉え考えていきたいと思った。
 まだまだ、多くの学びがあり、十分に自分のものとなっていないことが正直なところであるが、必ず自分のものとし、施設での緩和ケアに生かし仲間に伝えたいと思っている。

 

聖隷三方原病院ホスピス病棟における実習

 期間 6月29日〜7月10日
 指導担当者 榊原副看護婦長 杉山婦長 小粥主任

 

(1)実習目的

 ?実習施設におけるホスピスケアの実際を通して、自分の施設に必要な知識・技術・態度を学ぶ。
 ?自分がホスピスケアを行う上で必要な情報を収集し、分析し、自分の施設に活用できる。

 

(2)実習目標

 ?ホスピスケアの理念・目標を理解し、ホスピスケアの実際とチームアプローチにおける看護の役割を学ぶ。
 ?緩和ケア病棟における看護管理の実際を学ぶ。
 ?緩和ケアに携わる者として、また、患者さんやご家族のQOLを支援する者として、看護職の教育のあり方を学ぶ。
 ?身体的・精神的・社会的一霊的苦痛における看護の取り組みを認識し、問題解決のあり方を学ぶ。
 ?ボランティアに対する考え方、その取り組み、及びボランティア教育の実際について理解する。
 ?緩和ケア病棟におけるアメニティーを理解する。
 ?実習施設の看護スタッフと親交を深め、より良い人間関係を築く。

 

(3)実習の実際

 ?ホスピス病棟の概要
病床数 27床(全個室差額ベッド料なし)
専任::医師4名 看護婦22名 チャプレン1名 看護助手1名 事務1名
担当:ソーシャルワーカー1名 栄養士3名
看護方針:患者さんが穏やかな気持ちで過ごせる
看護目標:ア)最初の出会いを大切にする
       イ)環境を整える
       ・気持ちよく生活できる場を提供する
       ・その人らしさが出せる環境づくり
       ウ)別れの場面を大切にする
 ?実習から学び得たこと
 私の施設は、平成11年、介護力強化病院の中で12床の緩和ケア病棟を開設することから、実習目標の主体をホスピスケアの実際と看護管理において臨んだ。現在、一般病棟に勤務していることから、実習の中で、ホスピス病棟と一般病棟との看護の視点の違いに気づいた。これから緩和ケアを行う上での課題として認識したことについてまとめる。
 聖隷三方原病院のホスピスでは、患者さんのプライバシーを確保し、病室を家庭的な雰囲気に保ち、ご家族と共に充実した生活が送ることができるように配慮する精神で、看護も環境も提供されてい々病棟・病室には、木目と竹をふんだんに使用し、病室には、ベッドと同じ高さで2畳の畳がおかれ、ベランダへ出られるガラス戸には、カーテンのほか障子も配置され和風式要素が多く取り入れられていた。看護婦も、病室に入るというよりも、患者さんの家に入るといった意識で対応されていた。
 実習4日目に関わった患者さんであるが、かなり状態が悪い感じを受けたのであるが、このような患者さんの場合、私の施設であれば、モニタリングをし、24時間持続点滴があれば、輸液ポンプを使用し、看護婦の判断で酸素吸入を行い、ベッド上安静を強いると思われる。しかし、ここでは、モニタリングはせず、酸素吸入も本人の意向を確認して行い、午後からは、本人の希望に添って、車椅子散歩まで行った。

 

 

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