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 実習病院では、看護婦、医師、その他のスタッフによって、本当によく症状コントロールができていると思った。患者の訴えに対して、看護婦、医師、特に医師は患者のベッドサイドにたびたび訪れ、患者の苦痛に耳を傾け、共感し、つらくないようにもう一度工夫してみますとことばかけをし、すぐに対応されていた。そのことが患者にとっての信頼感につながっていることを強く感じた。患者さんの何人かに「この病院にきてよかった、体が楽になったし先生も看護婦さんも話をよく聴いてくれる、気持ちがとても落ち着いて、生きている間、自分にできることをしたいと思っている」と話していただいた。症状のコントロールができ、またいろいろの職種が関わり、ケアすることによって、患者は癒され生きていることの意味を見いだすことができるということを実感した。
 症状コントロールの実際については、今までいろいろな本を読んでも、実際に使用する場合、どのように実施してよいかわからないままに行っていた。今回薬剤の種類やその使用方法など、具体的に理解できたように思うので、今後医師と相談しながら効果的に実施できるよう努力していきたいと思っている。
 次に入院のシステムについて、ホスピス外来、訪問看護ステーションの見学をさせていただいたが、当院でも9月よりホスピス外来を開く予定にしている。方法は実習病院を参考にさせていただきながら、地域性、特殊性を加味してシステムを作っていこうと思っている。
 また、訪問看護ステーションをもっていないため、今後近辺の訪問看護ステーションとの密に連絡をとり、どのように連携していくか、そのためのシステム作りも必要となってくる。
 最後に家族ケアについて、講義、実習を通して多くのことを学ばせていただいたので述べてみる。
 緩和ケアの対象は患者のみではなく、患者とその家族を単位としてのケアが重要です。しかしどうしても患者のみに集中してしまい、患者のためにはこの方法が一番よいことだ、どうして家族なのに協力できないんだろうかとか、子供がいるのにどうして面会にこないんだろうか等、つい自分たちの家族に対する「家族とはこうあるべき」という価値観で家族に対応していたことの多さを反省させられました。
 渡辺裕子先生の講義の中で、現在社会における家族の変化として、?少子高齢社会(家族の小規模化、高齢世帯の増加)、?家族観の変化(個を生かす家族、多様な家族観)、?家族の多様化があげられた。またなぜ家族看護が必要かとして、?家族機能や医療システムの変化にともなう新たなニーズ、?看護の質の向上(患者ケアの質を高めるため、患者を含んだ家族に対し、どのような看護が提供できるか)、?効率の良い効果的な看護(限られた医療資源、医療費の問題も含めて必要な人が必要な時に必要なだけの医療を)をあげておられた。
 このようなことを理解した上で、家族看護上の問題を明確にして、援助していく必要があるということ、この講義で家族援助の必要性が自分の中で明確になった。
 また、季羽倭文子先生の講義では、事例にもとづき援助の実際を具体的に考えることができました。患者さんが入院してこられた場合、どのような形で家族をとらえるかとても難しいことですが、いままでの家族背景の表だけではまったく役にたっていないと反省しました。先生の講義の中で集めた情報をどのように図式化すればチーム全体で共有でき、また新しい情報も入ってきやすいかということを教えていただきました。ぜひ、カルテの中に家族関係の図示を記入する用紙を取り入れていこうと思っています。

 

 

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