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病棟運営、管理に関する検討

 緩和ケア病棟を運営、管理していくうえで必要なことは、緩和ケアの考え方をどのように実践していくかという方針をたてること。その方針に基づいて、医師、看護婦の体制、チームの構成、患者の受け入れ等を考えていく必要がある。私達の病院も全国緩和ケア病棟連絡協議会による「緩和ケア病棟承認施設におけるホスピス、緩和ケアプログラムの基準」にそって基準を作成しつつあるが、研修に参加する前は手探りであったが、今は内容を理解しつつ進めていけると思う。

 

スタッフ教育について

 スタッフも初めて緩和ケア病棟で働く者ばかりなので、私自身がこの研修で得たことについては、開棟までにぜひ伝えていきたいと思っている。
 また各施設のスタッフ教育プログラムを参考に、当院のスタッフの背景等も考慮し、どのような看護をめざすかという目標をたて、教育プログラムを考えていきたいと思っている。

 

病院実習について

 病院実習の目標として、?実習施設の理念、目的を理解し、その中で行われている緩和ケアについて理解する、?チームアプローチについて、チームにおける各職種の役割の理解と看護婦の役割についての理解、?スタッフ教育について、?ボランティアについて、?ケアを実践していく中での問題点と解決策、をあげた。
 実習病院は淀川キリスト教病院で、日本で2番目に設立され、また、都会の病院ということもあり、私の病院のように地方の病院とは患者の層、地域性、家族関係等様々な違いはあると思うが、緩和ケアの目的はどこでも同じでなければいけないと信じている。実習を通し、講義を受けたことをどう実践と結びつければよいのか、また今後自分の病院にどう生かしていったらよいのかについて述べてみたいと思う。
 まず、チームアプローチについてであるが、痛みの治療を中核とした緩和ケアの実践にはチームアプローチか必要であり、チームのリーダーは医師、コーディネーターは看護婦である。濱口恵子先生のチームアプローチの講義の中でも、職種か多いほどチームワークが取りにくい、その原因として職種間の考え方に差があることと、チームの目的、目標がはっきり伝わっていない、しかしお互いに聴こうとしないことがあげられる、とあった。実習病院ては、各職種の役割が明確にされており、職種間のカンファレンスが毎日定期的に行われていた。当院では、病棟開設にあたり、新しい職種の導入もなされている。チーム間の連絡調整をスムーズに行い、効果的チームアプローチが実践できるように、当院での各職種の役割の確認と協力体制、連絡方法、カンファレンスの持ち方等チーム全体で話し合い、開棟までに確認する必要がある。
 特に医師、看護婦間では、夜間の体制をどのようにするのか、看取りの時の体制(モニターの装着等)等についてしっかりと話し合う必要があると痛感している。
 また、ボランティアの導入についても、研修に参加するまでは国立という概念に縛られた中で考えていたので、ボランティアを緩和ケアチームの一員としてとらえた上で考えていきたいと思っている。
 次に症状コントロールについてですが、講義では、疼痛コントロールを中心に末期がんにおける不快な諸症状につき各先生よりお話ししていただきました。これらの症状が十分に緩和されないかぎり患者は「患者」のまま過ごすことになり、これらの苦痛緩和を図ることががん患者のQOL向上のための第一歩となる。特に疼痛が長期にわたって放置されれば、患者の日常生活ばかりか、その人らしさまでも破壊してしまう。このように緩和ケアの中で基本的なことは、まず、様々な苦痛を緩和する症状コントロールであり、そのマネジメントに対して看護婦が主体的な役割を任う責任があるということ、そのためには、看護婦自身が患者の苦痛を感じ取る責任をどれだけ強く意識して患者に関わっているか否かに大きく左右されるということであった。私の病院の現状として、症状マネジメントを看護婦が責任をもって実践していくための知識も技術も不十分である。そこで私は緩和ケア病棟では、スタッフの同意を得て、パトリシア・J・ラーソン先生の“The Model of Synpton Management”を勉強しながら使用していきたいと思っている。

 

 

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