2週間の実習を終えての感想は、ケア上の問題点とスタッフ教育の問題点は一般病棟とそれほど変わらないと思いました。緩和ケアにおける症状コントロールとは、患者さんが訴える症状をその言葉通りに捉えるのではなく、その症状が患者さんが生きているということを実感するために、どのような困難となっているかに焦点を当ててチームアプローチしていくことではないかと考えました。このことがこれまで分からなかった“患者さんの思いを聞く”ということではないかと思いました。
今後のスタッフ教育において、これまでの経験から次のことを十分踏まえて準備を進めていこうと思います。リーダーシップを取れるスタッフが全てメンバーシップを上手く取れるとは限らないこと、看護場面によって感覚的に鋭いスタッフとそうでないスタッフがいるということです。そして、スタッフ各々が自分に課せられている役割を認識し、自分の弱い部分を認めた上でチームメンバーによる相互教育ができるような環境を作っていきたいと思っています。また、チームの方針を決定する際に倫理的問題で方向性を見失いかけたときは、緩和ケア病棟の理念に基づいてディスカッションを繰り返してチームの方針を揺るぎないものとし、その結果をチーム全体で引き受けるという認識を統一していきたいと思いました。
おわりに
これまで統一した看護を提供するためにはどうすればよいかと苦慮して、マニュアル作りに精を出していたことがとても恥ずかしくてなりません。根拠にこだわらずにスタイルにこだわっていたのです。患者さん主体の看護介入にはマニュアルなどなくていいのです。根拠を明確にしたうえでの看護介入であれば、スタイルを細かく統一する必要がないことに気がつきました。チームにおいて看護力を高めていくということは、看護介入の根拠をどのように伝えていくかということと、チームメンバー相互で刺激しあって人間性を高めていくことではないかと考えました。2ヵ月間の研修において、これまでの看護介入を客観的に見つめることができ、自分と他者、環境なと関係性について掘り下げて考えられるようになりました。これら数々の学びを病院スタッフに広め、これから3年間を目処として皆と基盤を作っていこうと思います。
謝辞
今回の研修は、公私共々有意義なものとなりました。研修を無事に終了できたのもいろいろな皆様のお力添えがあったからと存じます。このような機会を与えてくださったことに深く感謝いたします。特に日本看護協会看護教育 研究センターの岡谷恵子先生、小田式子先生、金子祐子先生をはじめ職員の皆様、また、病院実習においてはご多忙な折りに、4名もの実習生を快く迎えてくださいました志真泰夫先生、丸口ミサエ先生をはじめ緩和ケア病棟の皆様に厚くお礼申し上げます。
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