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根拠を明確にしたうえでの看護介入へ

和歌山県立医科大学附属病院
岡本昌子

 

はじめに

 緩和ケアナース養成研修への参加は、私の所属する病院が平成11年5月に移転すると同時に緩和ケア病棟を開棟するため、新設病棟において必要な知識・技術・態度を学ぶために希望しました。
 私には、緩和ケアを行う上で必要な情報を収集し、分析して開棟準備の資料とし、スタッフを教育するという役割が与えられています。

 

研修課題及び実習目標

 まず、私は3つの課題を挙げて今回の研修に臨みました。
 ?終末期患者と家族のための緩和ケアの基礎を学び、新設病棟においてスタッフの指導   ができる。
 ?症状コントロールの実際について学び、個別性のある看護を実践できる能力を習得す   る。
 ?進行がん患者や家族とのコミュニケーションとカウンセリングについて学び、チームアプローチが実践できる。
 以上の3つの課題を礎にして講義を受け、他の受講生とディスカッションを繰り返しながら、研修後半の病院実習では実習目標として以下のように掘り下げてみました。

 

〈実習目標〉

?実習施設の概要を把握し、その中で行われている緩和ケアについて理解する。
 ・実習施設の理念や目的を理解し、緩和ケア病棟がどのような役割を果たしているのかを理解する。
 ・症状コントロールの実際について学び、個別性のある看護が実践できる能力を習得する。
 ・進行がん患者と家族とのコミュニケーションとカウンセリングについて学び、チームアプローチにおける看護の役割を理解する。
?緩和ケアを実施していく上での問題点とその解決策について学ぶ。
 ・実習施設で生じているケア上の問題を知り、それに関わる諸因子が分かる。
 ・実習施設の開棟から今日までのケア上の問題とスタッフ教育の問題の経緯と解決策が分かる。
?スタッフの教育指針と育成のためにどのように取り組んでいるか学ぶ。
 ・看護部による中央での研修と、実習病棟内での学習会の企画と実施方法が分かる。
 ・実習施設内での新人教育の実際と成長度の評価方法が分かる。
 以上の実習目標が達成できるように臨みました。
 そして、視野を広げるために時間を調節してあらゆるセミナーや学会に参加したり、緩和ケア病棟の施設見学を行いました。第62回ホスピスケア研究会「インフォームド・コンセントの推進に向けて」というテーマで武田文和先生の講義や、第63回ホスピスケア研究会「マザーテレサに学ぶ愛と命」という映画と千葉茂樹監督の講演、斎藤龍生先生の「肺がん終末期の症状とコントロール」の講演、「ターミナルケアにおける倫理的諸問題」というテーマでのシンポジウム、第2回聖路加看護学会学術交流会「看護職の自己決定のありよう」というテーマで野末聖香先生のアセーションの特性に関する研究結果について、日英シンポジウム「緩和ケアの実際」の講演やディスカッション、第13回日本保健医療行動科学学会大会「ターミナルケアにおける患者行動への対応」というテーマでの日野原重明先生の講演や、患者家族 医師・看護の立場からのパネルディスカッションなどを聴講し、緩和ケアの現状と社会が私たちに託しているものごとが浮かび上がってきました。また、上尾蘇生病院やピースハウス病院の見学は、緩和ケア病棟独自の雰囲気を実感できました。

 

 

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