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(3)看護の役割──常に傍らに寄り添い、共に行く人(専門的知識を持って)──
 ・本人と家族が対象。家族はケアの仲間であり、ケアの対象でもある。
 ・QOLを最良の状態で保ち、援助する。苦痛の緩和(身体的症状、精神的症状、アセ
  スメント)
   訴えられる状況をつくる
   訴えをよく聞く
   原因に近づく
 ・役割、意味の確認
   家族、社会とのつながり、人生の振り返り
 ・生活を整える−まず基本ニーズを満たす
   種々の資源の利用と工夫
 ・インフォームド コンセント
   本人の意向を尊重する
   環境づくり(時間、場所、参加者)
   情報収集、提供
   本人の代弁者、フォローアップ
 ・チームアプローチ−メディカルチーム
   本人、家族とチームメンバーの間のコーディネーター、多職種が支え合って、最高のケアを 提供できるように調整する。

 

5)諸制度

 制度は十分活用し、利用し、患者や家族にとって経済的負担の軽減に少しでも有効であればよい。

◇利用しうる社会資源
a.各種医療保険 b.(老人保健法)医療受給者証 c.継続療養証明書 d.高額療養費還付制度 e.高額療養費の委任払制度 f.高額医療費融資制度 g.医療扶助(生活保護) h.休業補償(傷病手当金) i.障害年金 j.障害手当 k.重度心身障害者医療費受給者(資格)証、身体障害者手帳 l.ストマ装具の支給等 m.ボランティア活動保険 n.ボランティア活動等行事用保険 o.歯科往診 p.マッサージ往診 q.放射線治療受診往診 r.訪問看護ステーション s.クリニック他/病院連携/病診連携 t.移送料 u.給食サービス v.入浴サービス w.ヘルパー派遣 x.(有償)ボランティア(社会福祉協議会) y.生命保険各種 z.埋葬料(費)

 

まとめ

 2ヵ月という長い研修でした。内容は、私の“緩和ケア”の目的が十分わかりました。患者中心、家族も1単位と考える、症状コントロール、チームアプローチ、看護婦の役割…他。短くも感じました。
 看護は、チームワークの在り方がケアの質の向上に関連しているのであると思い、チームの中で中心的役割を果たすのは、患者の心身の苦痛にいつも向き合って対処している看護婦である。緩和ケアにおける看護婦の役割を大別すると、ケアの実践者としての役割と、ケアチームのコーディネーターとしての役割がある。
 ケアの実践者としての役割には、症状コントロール実践、精神的や死に対する心理的適応を促す援助、日常生活の援助なとがある。
 チームのコーディネーターとしての役割には、チームメンバーへの情報の提供、各チームメンバー間のコミュニケーションと役割の調整、他の専門職への連絡とチームリーダーとなる主治医との連携などがある。
 緩和ケアを推進するために必要となるメディカルチームがあげられる。いつも患者と関わりをもっているのは医師と看護婦であり、他のメンバーは患者のニーズに応じて参加することになり、それぞれが役割を持ち、チームワークにも役割があり、専門的知識を持つ人、意志決定の責任をとれる人、共通の目的に向かって知識を共有し総合化できる人、合意に基づく目標を設定し統制をもったケア計画を立てられる人、自分自身を含むチームメンバー全体を人間的成長に導ける人など、コーディネーターとしての看護婦には多くの能力が求められる。看護婦一人一人の個性、能力、知識、技術が最大限に要求される。
 当院でもプライマリーナーシングを導入するだろうと思う。プライマリーナーシングを中心として、患者さんや家族に起こっているいろいろな諸問題に関する情報をプライマリーナースがうまくアセスメントし、他のチームに役割を依頼していく形をとっていく。看護婦にいろいろな問題をアセスメントする力があればいいのですが。看護婦のところで問題を抱え込んでしまったり、空回りしてしまうと、他のチームに行かないという問題もあります。いかに情報をうまくとって、アセスメントをしていくかがとても大切だと思う。
 看護婦は多種多様に大きな役割がある。自分の役割をはっきり把握し、今回勉強したことを少しずつ長くチームに浸透させていきたいと思います。今は頭でっかちだと思いますので、行動に内容が伴うように、私自身努力したいと思います。
 愛和病院に入りまだ一年と経たない私を、2カ月という長い研修に参加させていただき、院長の心の広さに感謝いたします。スタッフ、チームの皆様にお礼申し上げます。2ヵ月、私達のために努力してくださった、小田式子、金子祐子両先生、また日本財団関係の皆様に御礼申し上げます。

 

 

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