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(6)セデーション(呼吸困難に対する最後の手段)

 終末期患者の死亡直前に出現する耐え難い呼吸困難感は、患者、家族また医療者をも深い不安に突き落とす。このような身の置き所の悪い辛さは意識を正常に保ったままで十分に緩和することはしばしば難しい。このような時には苦痛緩和のための最後の手段としてセデーションを行う。

 

(7)セデーションにおける看護婦の役割

?セデーションの必要性が予測される場合は、患者および家族に話しておく。
?患者の苦痛を理解し、症状コントロールについて評価する。
?家族とのコミュニケーションを十分とり、家族の考え方、望んでいることについて理解する。
?セデーションについて家族、医療者が話し合う時間を作り十分話し合う。
?患者にセデーションの方法について説明する。
?間歇的にセデーションの場合は、覚醒している時間を患者と家族のために有効に使っていく。
?持続的セデーションを行っている場合は、今までと同様尊厳を持った態度でケアを行う。
?家族への慰労、悲嘆への援助を続ける。家族がケアに加われるように家族ができることを助言していく。

 

4)家族援助

(1)家族援助を考える前提

?看護婦は家族ではない──看護婦は家族の代わりになれない。家族の役割を侵さない。
?患者と家族を1単位として捉え援助する──家族も看護婦の援助の対象。家族が必要としている援助。
?問題解決の当事者は「本人と家族」──看護婦自身の価値観を押しつけない(自らの家族観、価値観から自由であること。中立である)。
?生きざま、死にざま──家族として生きた歴史の影響、結果が現れる。
 ・役割期待、役割遂行
 ・家族としての発達課題達成の仕方
?家族関係が輻輳している実体を把握し理解
 ・家族関係は単一ではない
 ・誰を中心にした家族関係かによって家族の捉え方も異なる

 

(2)家族援助の視点

?家族全体として人生を“完結”するという相談で援助する。
 ・残された時間が“限られた日々”であるという認識のもと、密度の高い家族関係を基礎に目的を設定して暮らせるよう援助する (QOLを高める暮らし)。
 ・看病という行為を実践し、いたわりあう家族機能を高められるように援助する。
?死別喪失に直面することへの援助(告知の有無。事実の共通認識が家族間にできているかどうかが影響する)
 ・喪失予期、悲嘆の表現、共感ができるように関わる。
 ・Dying Processについての具体的状況に関する情報を提供し準備(心、物品、手記他)することを援助する。

家族も患者の健康問題によって受ける影響は大きい。ストレスも小さな子供がいればいるほど大きく、家族間の問題も大変なものがある。私たちは看護者として、どのような家族援助がどこまでできるのか、何のためにその情報が必要なのか、看護者の援助姿勢が問われる。

 

 

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