日本財団 図書館


方法は患者によって様々であるが、常に患者のQOLの維持・向上を中心にマネジメントてきるよう私たちは日々学びの姿勢を持ち続けたい。そして、他の施設でいろいろな試みがなされているので研修生のネットワークを活用し、情報交換していくことでケア内容の向上に努めていきたい。

 

精神的ケアについての学び

 このケアが一言で何であるかははっきり答えが出せなかったが、いろいろな先生の講義で感じたことを述べてみたい。
 精神的な部分は相手の何気ない言葉や態度に左右されることが大きい。態度の中に相手への気遣いがある。自然な感じで日常生活の援助(例えば コップに水を足す、スリッパを整える、ドアの開閉に気をつけるなど)が行えれば、そのケアの積み重ねから精神的ケアに結びつくものがあるかもしれない。
 また、患者のメッセージを自分の価値観で受け取ってしまうとメッセージが見えなくなる恐れがある。患者のありのままの訴えをバイアスをかけすにキャッチしていくことや、患者の訴える言葉の出来事ではなく感情や気持ちに注目することで医療者が真剣に向き合っているという安心感・信頼感が生まれ、患者の心に届くものがあるかもしれない。
 精神面の症状もいろいろな段階が出てくるので、看護者で対応しきれない状況の場合は精神 心理面専門のチームスタッフに委ねることも必要で、看護者だけで抱え込むことは避けるべきである。抱え込むことによってストレスが生じ患者にもよい影響はあたえない。

 

家族への援助についての学び

 患者と同様家族の看護はとても重要であることが分かった。今まで自分の価値観て家族をとらえていたためストレスが起こっていたのだと気づいた。私たちに求められる姿勢は、家族の考え方にそって支えていくことや、患者と家族の意見は医療者が判断せず患者 家族に決めてもらう、家族観価値観は自由であることを心がける、援助のタイミングを的確にキャッチする、柔軟性を持つことなどである。
 また、核家族となってきており血縁関係でない人の関わりが多くなっている。患者にとって一番大切な人と捉えれば、私たちは血縁関係に捉われることなく広い視野で対応していくことが大事である。
 そして、家族がケアに参加しているという満足感や役割が得られるよう、ケアしている意味をフィードバックして伝えることは大切で、これが支え・ケアの意味づけになる。また、労いの言葉一つで家族の気持ちが引き出せる場面になるかもしれない。家族が後悔することがないよう、それぞれの家族にあったケアを心がけたい。

 

実習での学び

 実習目的は、?実習施設におけるホスピスケアの実際を通して、自分の施設のケアに必要な知識・技術・態度を学ぶ、?ホスピスケアを行う上で必要な情報を収集・分析し、自分の施設に活用できる、である。今回の学習では特にチーム医療についての学びが大きかったので述べたい。 看護婦に関しては、自分の看護観はとても大切であり、それをどのように活かし調整できる柔軟性を持つか、またチームナースの思い 価値観も大切にし調整していかなければならない。調整するための基本は「理念」であることも気づいた。ホスピスはプライマリー制をとっているところが多いが、プライマリーナースが患者をひとりで抱え込むことがないよう、プライマリーナースは患者の窓口的存在でもよいだろうし、チームで補い合える関係は負担にならずよい効果をもたらすのではないかと思う。これは個の職種にも関係することで、看護者の役割以上のことを求められた場合は専門職に任せることで患者のQOLの維持・向上につながると分かった。
 今回、いろいろな職種の方と関わることができ様々な角度から見方や捉え方を知ることができた。今まで自分に足りなかったことは、チームのそれぞれの職種の方を知ろうという関わりが持てていなかったことだと思う。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION