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4)スタッフに対するケアの重要性の確認

 終末期における患者・家族は身体的、心理的、社会的にも多くの問題を抱えており、日常的にそのケアに対するスタッフのストレス、ジレンマは大きいものがある。それは病状コントロールにおける薬剤使用に関するセデーションの問題、病状、予後についてのインフォームなど一人では抱え込めない問題も多くある。患者にとって何がベストかはいつも正解がないだけにスタッフの悩みは深く、時にはその状況から逃げ出したいと考えてしまうこともある。
 医療スタッフは患者や家族をケアしつつ自分の情動を過度に制御しがちの傾向があり、自分の楽しみやリクリエーションやリラクゼーションを先に延ばす傾向があることが講義の中で気がついた。「こうであるべき」「〜でなければならない」とは考えず、危機的な出来事や同じような不安、怖れを同僚と分かち合うなど互いにスタッフ間でケアし合うことの大切さを研修によって確認できたと思う。

 

実習での学び

 自分の施設は独立型ホスピスであり、そこでの勤務の中、恵まれた環境と引き替えに併設でないために生じる検査などの対応が限られるなど、デメリットとしての面を感じる点が多くあった。しかしながら、研修に参加し、受講生間の情報収集や実習施設での今までの経過を知ることで併設型の他科とのコミュニケーションや緩和ケアに対する共通の理解を得ることの難しさを知るにつけ、我々にはないジレンマがあることを知った。また入院患者の90%は外部からのケースであるなど、一般にホスピス病棟に対するマイナスイメージの強さを感じた。症状コントロールや看護ケアについても各施設ごとそれぞれに工夫されているが、互いの情報交換により今後もよりよい方向に努力していく必要性を感じた。

 

おわりに

 この研修を通して、終末期患者と家族の緩和ケアについて広範囲における学びを得ることができた。この学びを今後自分の施設で生かすことによりケアの向上を図っていきたいと考える。

 

 

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