ここでの学びを今後のケア向上に
ピースハウスホスピス
湯山邦子
はじめに
今回緩和ケアナース養成研修に参加するにあたって次の4つの点を目標として臨みました。
1)症状コントロールの知識と技術の理解を深める
2)終末期患者、家族の心理の理解と関わり方
3)チームアプローチにおける看護婦の役割と理解
4)スタッフに対するケアの重要性の確認
以上の項目について各講義及び実習を通して、多くの字びを得ることができたのでここに報告する。
1)症状コントロールの知識と技術の理解を深める
症状コントロールはただ単に身体的な面だけでなく、心理、社会的側面を含めた全人的なアプローチが必要であるということは言うまでもないことである。
しかしながら第一に身体的苦痛の除去は欠くことのできないことであり、それに関する知識、技術、経験を積む必要性は日頃の業務の中で痛感しているところである。その点において、私自身、今回この研修への目標とするウエイトも高いものがあった。この部門において「癌性疼痛マネージメント」として的場元弘先生よりケアの中で日常行われている実際的な薬剤の使用方法及び観察ポイントを含む幅広い講義を受けることかできた。各論としてモルヒネ製剤の剤型と投与経路、経路変更、副作用対策、増量方法、レスキューの産出、投与間隔、モルヒネ適用外の疼痛管理など今までの知識の確認、疑問の解決に結びついた点が多くあった。また今後のアドバイスを受けることができる窓口として先生への私設インターネットのアクセス方法を表示していただいたことは、私たち受講生にとっては心強いことであり感謝している。
次に志真泰夫先生より心理社会的側面も含めた「緩和ケア」の定義理念など基本的考え方をはじめ、症状マネージメントの実際として
?情報収集の方法
?対処する職種の調節
?評価と分析
?治療計画
?繰り返しの分析評価
について、具体的事例を用いての講義は「症状コントロールの10の基本原則」を含め理解しやすくすぐに実際の臨床の場に生かせる内容であった。
看護面においては患者主体の症状マネージメント方式を導入しての看護援助に対するパトリシア・Jラーソン教授の講義は今までのように医療スタッフ中心のマネージメントではなくとても新鮮に感じられた。患者とともに問題解決を図っていくという点から、患者の体験を時間をかけて聞き、患者のやり方を徹底的に尊重する。症状そのものが患者自身によって知覚される種類のものであるから、感じているその人の評価なしてはやり通せないという、いわば当然のことが今までなおざりにされて、医療者の判断だけで進められてきたことへの大きな気づきになった。
終末期ケアにおける症状コントロールは患者のQOLに大きな影響を及ぼすことであり、患者、医療者がともに問題解決に向かうという姿勢は身体面だけでなく心理面においても患者の大きな支えになるのではないかと考えた。当施設においては以前よりこの方式の臨床への導入を検討されていたこともあり、その委細につきよい学習の機会を得たと考える。
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