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緩和医療について

 緩和ケアとは、ただ単に症状をコントロールするということではない。患者さんの精神的ニーズ、社会的ニーズ、スピリチュアル的ニーズとトータルしたケアを意味するものであるが、実践の中で経験することは患者さんはそれらの問題を重複していることは稀ではない。一人の患者さんの持つ諸問題を理解するためには、いろいろな角度から見ていかなければマネージメントすることは難しい。患者さんそれぞれの状況により対応の工夫は必要と思われるが、基本的なマネージメントの考え方、原則、進め方を知ったうえでの応用のほうが期待できる効果は大きいのではないかと感じた。

 特に症状コントロールの10の基礎原則

?治療の前にまず患者の病態を検討する。
?病状の原因と成り立ちについて、分かりやすい言葉で患者に説明する。
?選択可能な複数の治療法について患者と話し合う。
?治療内容を家族に説明する。
?症状が持続的な場合は、症状の再発を予防する方式で薬を投与する。
?治療は単独な方法で開始し、複雑なものは後回しにする。
?治療は、薬剤だけに限定しない。
?治療が期待できない場合、同僚や専門医の意見を求める。
?患者、家族への現実的で配慮の行き届いた指導が必要である。
?治療方針の見直し!見直し!見直し!

を理解することで、その時々の問題に対し必要なことが明確になる気がした。今後施設において実践に生かせるように工夫できることが課題と思われる。

 

症状コントロールについて

 症状コントロールにおける様々な講義から、私自身のテーマとしてパトリシア・J・ラーソン先生の言われる提供すべき3要素、?基本的知識、?基本的技術、?基本的看護サポートを理解することを基礎に整理することにした。

 ? 基本的知識 … 症状、徴候をアセスメントするうえで、その症状の定義を知ること。症状コントロールの持つ意味について専門性を持ち話ができる。使用薬剤の効果、副作用について理解する。患者、家族に分かりやすく言語化できる。状況に合わせ優先順位の判断ができ、柔軟性のある対応ができる。
 ? 基本的技術 … 薬物使用による症状コントロールとともに看護の基礎的工夫が提供できる体位の工夫、マッサージの必要性、食事内容の検討、身の回りの機能性、身体の清潔、環境整備etc。ADL拡大。
 ? 基本的看護サポート … 患者さん自身がセルフケアできるよう支援する。コミュニケーションを十分にとれることにより、精神的、社会的、スピリチュアルな痛みを知り、価値観を知る。QOLを高める。

 講義から得た知識が全てすぐに生かせるとは思えないが、まずできることから始めなければならないと感じた。

 

がん患者の心理的特徴と援助、家族援助について

 患者さんと家族は切り離して考えることはできない。末期患者の心理的プロセスに関しては、キューブラ ロスの5段階が有名であるが、決してこのとおりではないことは実践をとおして感じている。人生において死に直面しているときに起きる心理的反応はあってあたりまえと思う。しかしそれが病的なものなのか、適応障害であるのか見極めなければならない。患者さんと接しているとき確かに何か違うと感じるときがある。田村恵子先生の講義から、状況的危機をただ感じるだけですますことになれば、適切な対応につなげられないと感じた。フィンクの危機モデルと介入は系統だてて理解するためには分かりやすいと思った。

 

 

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