自分の足もとを見つめながら

医療法人社団珠光会聖ヶ丘病院
高橋敬子

　

はじめに

　当聖ヶ丘病院もホスピスの認可を受け2年が過ぎ、日々の勤務の中で入院する患者さんの数が多くなればなるほど、ケースが増えるほどコミュニケーションの難しさ、症状コントロールの難しさを感じるようになってきた。そこで、欠落しているものはアセスメントの不十分さにあるのではないかということに気づいた。しかし、その気づきをスタッフにどのようにアプローチしたらいいのか漠然としたまま過ごしている状態だったが、考えてみると問題は施設としての役割を再認識することであり、ハード面はもとよりソフト面についての充実を見直す時期に来ているのではないかと感じた。ソフト面とは、日常生活の工夫であり対応の仕方であると思われる。患者さん、家族は一単位でありそれぞれの価値観があるが、それぞれの価値観を理解し、対応することに個人としては限界があると思われる。
　そこで必要になるのはチームとしてのアセスメントであり、患者さん、家族のニーズに応えるためには、やはりチームとして関わることである。そこで、チームアプローチとはとのようなことなのか、なぜ必要なのかを具体的に理解し、自分の施設に反映するためにはどうすればいいのか考えることができれば、という思いがあった。また、緩和ケアにおいて、もっとも重要な苦痛の緩和についても施設で行われていることが全てではないことも、いろいろな講義からも感じていた。症状コントロールの知識を深めることが必要であることも実感していた。そこで、今回の研修の目的として、チームアプローチの必要性、症状コントロールの知識を深めることにポイントを置くことにした。今回の研修から、講義、実習から学んだことをここに報告したいと思う。

　

倫理観について

　生命倫理、看護倫理について講義を受けたが、人が人として尊厳をもち尊重されることが基本になることは当然のことである。しかし、医療の現場において時として誰の命であり、誰のためのもので、誰を中心に考えなければならないのかが分からなくなっていることが多々あるように思われる。そんなとき、誰が主役とならなければならないのか、誰にとっての利益なのかを判断していかなければならないことだと思う。そのために必要なことは主役である患者さんの価値観を知ることであると思う。そして、よりよいコミュニケーションをとれるかが問題となってくる。看護者としては、患者さんがいかに自分自身で自己決定でき自分らしく生きていけるか、それをどう支援できるかがテーマになると考える。また、患者さんが自己決定できない状況にあるときに、患者さんの代わりに判断できる患者さんにとって信頼の置ける人を知り、結果においては後悔として残らないようなアフターケアをしていかなければならないと感じた。命に関わることを委ねられるということの重みは、近親者であれ一大事であることを肝に銘しておきたいと思う。また、看護者個人個人の価値観がはっきりしていることも、相手の価値観を理解することにつながると思われる。

　

　

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