自らを的確に評価し成長したい

石心会狭山病院
小谷由美子

　

はじめに

　今回この研修に参加したのは、緩和ケア科と内科の混合病棟を開棟して、まもなく3年目を迎える自院での現在の緩和ケアの質を確認し、看護婦の役割を順序だてて理解する。また、他院を知ることや学習によって自院のケアの弱点を自覚するとともに、その解決策を探ることを目的としたからです。自己の知識の裏づけとなる緩和ケアの基礎を振り返り、また緩和ケアに必要な学習項目や最新の情報を知り、自院の緩和ケアスタッフならびにコメディカルスタッフの理解を深めてよりよい緩和ケアのチーム作りを進めるための自己の課題が見えてきたので、ここに報告します。

　

講義から学んだこと

　緩和ケア科に配属され、かつてないほどに人の死について考える機会を持つことになりました。それは合わせて人の一生をも考えることとなり、それぞれ個々のQOLとは何かなど、複雑な答えの見つけづらい問題を抱えて日々考え続けることが日常になっていました。生命倫理　看護倫理の講義を受け、人の一生を考えるとき、それぞれの倫理観は大変重要であり、看護にあたる私たちは、常にそのことを頭に置いて正面から向き合う必要があるのだと感じました。臨床の場で感じる倫理的ジレンマも看護婦がその問題を倫理的にとらえられるかどうかによるところもあり、より高い質(人間の尊厳を守る)のケアが行われる現場にするためには看護婦の倫理性を高め、保持する必要があります。高い倫理性を育てるため、折にふれて倫理の原則を用いて振り返りの場を持ちたいと思いました。
　腫瘍学では、わか国のがんの現状や特性、天寿がんという視点からの予防、診断、治療の考え方の変化など広い範囲で全体を見渡す目を養いました。特にがん治療の考え方の変化は緩和ケアにおいて重要であり、がんのみでなくがんにかかった人に焦点が当たるがん治療の個別化がポイントであると思いました。医師、看護婦はこれらの知識もふまえて患者・家族をサポートしていく役割をにないます。
　緩和医療　緩和ケアの歴史や近年特に関心を集める要因となる医療者側、患者側、社会の側の変化について知り、緩和ケアの置かれている現状を知りました。まだまだ発展途上であり基本原則をふまえた上で多くの試みがなされるべきであり、海外との比較やその原則、理念など改めて自由なスタンスで受けとめることができたと思います。現在が緩和ケア施設の日本における拡大期であり、ある程度拡大した後に質が問われることは当然であり、今後の質の確保のためにも自院内外への緩和ケアのアピールの重要性を再確認しました。
　症状コントロールは緩和ケアの柱ともなる項目で、症状とはその人が感じる主観的なものであり、看護婦は患者の症状をそのまま受け入れる姿勢を持ち、患者の訴えにバイアスをかけずに対処できる能力を要します。症状マネジメント・モデルでは、まず患者がどのように症状をとらえ、評価し、反応しているかを知り、ともに緩和の方法を選択、患者中心のプランを作成、展開していくところに興味を持ちました。その症状を体験しているのは患者であり、患者が症状を認知、評価、反応している間に、看護者は客観的にとらえ、サインを見ています。改めてその行動を分析したとき、そこに必要となる定義の共有化や、知識の重要性を感じます。

　

　

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