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言葉の奥にある心を感じたい

上尾甦生病院
松本さより

 

はじめに

 この研修に参加するにあたり自己の直面する問題 課題として、大きく分けて以下の3つをあげました。
 ?症状コントロールの実際を知る。
 ?ホスピス病棟の在り方、ホスピスで働く看護婦の在り方を明確にし、それをふまえたコミュニケーション技術・カウンセリング技術の向上。
 ?グリーフケアの実際を知る。
 これらは、ホスピス病棟に勤務して1年半になる私にとって、大変切実な問題です。そのため、講義・実習を通してこれらについて学び、多くの具体的な課題を得たため、次に述べたいと思います。

 

研修を通して学んだこと、および今後の課題

 講義や実習の中で、様々な視点から自己の課題について考えました。それらを述べるにあたり、上記の項目別に分けることで、さらなる今後の課題を明確にしていきたいと思います。

(1)症状コントロールの実際を知る

 まず、症状コントロールを行う上で最も重要なことは、「症状とはいつも主観的なものである」ということを知っておくことです。これは国際疼痛学会の痛みの定義にも表されていることですが、痛みに限らず症状はいつも不快な体験であるため、常に感情体験になります。そのため、この主観的なものをいかにアセスメントするかが、症状をマネージメントする際のポイントとなります。
 しかし症状マネージメントを行う場合に、大きな問題があります。それは私自身の問題でもあるのですが、看護婦によって症状マネージメント能力に差が生じてしまうという点です。これは全ての患者に平等なケアを行うといった点でも、大きな問題です。そのため、これらの問題に対して、症状マネージメントに関する一定の方法を全ての看護婦が知っている必要があるのではないでしょうか。その一定の方法として、UCSF症状マネージメントモデルについて、大変興味をもちました。このモデルに沿って情報の一つ一つを検討することで、情報のもれをなくし、かつ、情報を活用することができるのではないかと考え、自己の施設においても検討していきたいと思っています。
 そして、症状マネージメントに関するもうひとつの問題として、症状に対する介入方法があげられます。これは、薬物による介入と薬物以外の介入がありますが、どちらについても重要なのは、介入の手段をより多くもつことだと学びました。まず、薬物については常に外部からの情報を得、自己の施設に活用していく姿勢が必要だと感じました。そして薬物以外の介入については、緩和ケア病棟の看護婦として、リラクゼーションやアロマテラピーといった方法も、精神的ケアを含めて学ぶ必要があると感じました。
 これらは緩和ケア病棟のスタッフとして、十分学習する必要がありますが、もうひとつ、患者(家族)指導についても検討する必要性を感じています。私は実習先として、国立がんセンター東病院を希望し、そちらで実習させていただきました。

 

 

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