誰にも遠慮せず最後まで生活する
医療法人つくばセントラル病院
大川 啓子
はじめに
来年の開棟を目指して、ホスピスとは何か、何をするところなのか、ホスピス病棟の理念に基づいた看護の基本的知識の理解を深め、そしてホスピス病棟における癌患者と家族のパイプ役を学ぶとともに、チームアプローチによるそれぞれの分野の専門知識が結集されることにより地域に質の高いケアか提供できればよいと思い、緩和ケアナースの研修に参加しました。
実習目標
(1)実習施設の概要を把握し、その中で行われているホスピスケアについて理解する。
?実習施設の理念目的を理解し、その中でホスピスがどのような役割を果たしているかを理解する。
ねらい インフォームド コンセントがなされている上での患者さんの心の動きを知る。
(例)男性72歳。癌を認めて限られた生命をみつめ、ありのままに生きるという喜びを切々とエネルギッシュに語られましたが、心の奥には“生きたい”という声か聞こえてくるように思います。 西群馬病院での緩和ケア病棟の理念は、「ここはあなたの意志が尊ばれる病棟です」。緩和ケア病棟は希望する誰もが入院できます。最も大切にしたいことは、あなたの意志を守り、尊びたいという考えです。あなたが誰にも遠慮することなく、人間らしく最後まで生活することを願う病棟です。 結果・入院前のインフォームド・コンセントがきちんとなされ、自分の意志で入院されますので、嘘を言わなくて済みます。明るい表情で私達に対しても自分の思っている事柄を正直に表出して下さいました。
?実習施設におけるホスピスケアの実際とチームアプローチにおける看護の役割を理解する。
ねらい:チームアプローチにより専門知識の情報が得られ、よいケアの提供ができる。
a 栄養士の役割を知る。
b ソーシャルワーカーの役割を知る。
c ボランティアの役割を知る。
d 薬剤師の役割を知る。
a 栄養士の役割を知る
一口でも食べられるように工夫するのが私達の仕事だと思っていますとのお話の内容から、緩和ケアの理念を理解されて関わっていらっしゃるんだと感じました。緩和ケアの患者さんは生が制限されているので、またすぐ対応しないと身体の条件が厳しいので、食べたいと思った時はすぐしてあげる。次の日は食べれないかもしれないので。100%できるとは限らない、だけどできるだけしてあげたいと思っています、と話されました。
七夕の行事で、流しソーメン3色で金銀豆腐は豆腐をハートに、玉子豆腐は星型に、人参は花型に工夫されていました。工夫により玉子豆腐が嫌いな患者さんも臭いもなくて食べられ、他の患者さんも竹を斜にし上から流れてくるソーメンを力いっぱいハシで押さえ、タレをつけて口に頬張っておりました。
結果:状況をみていると私達の方が励まされているのが感じられました。病棟に調理場が備えてあるためすぐ出せて、その素材の美味しさがありました。工夫により目先も変化し、食欲もでてくるのがわかりました。季節の味を味わうことにより生きている実感もわくと思いました。自分の施設にも活用ができそうでした。
前ページ 目次へ 次ページ