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 部屋を訪室し、患者とコミュニケーションをとるときは、必ず腰をおろし患者と同じ目線で、患者の気持ち、思いを大切にし、決して自分の意見を押し付けることなく、共感する態度であることを強く感じた。また、退院がせまり病状が安定しないことで不安を訴えている患者には、看護婦から状況の説明を受けた医師はすぐに訪室し、話し合いを持ったが、患者の訴えに耳を傾け、決して自分の意見を強く出さず、本人の意志をあくまでも尊重し、見守るというような態度に、やはり緩和ケア病棟だなという認識を持った。いすに腰掛け時間も30〜4O分とかけて、時間的余裕も一般病棟とは違うなと思った。
 チーム アプローチとしては、患者からの問題ある訴えに対して、時間をおかないでとられる対応、うつ状態だろうということで精神科へのコンサル、チームでのカンファレンス、家族を呼んでの面談などを確認することができた。

 

自分の施設にどう生かすのか

 志真泰夫先生はPCUも一つの病棟にすぎないと話されたが、多分自分の施設も他の病棟の延長線に位置することになるだろう。一つの病棟と捉えると、入退院が激しく大変なことは理解できるが、自分が考えていた以上であった。がんセンターとしての使命があることでの役割としての重さもあるのだろう。症状コントロールは、自分の施設でも見習いたいし、コミュニケーション技術も見習いたいと思っている。自分の施設でできること、できないことをこれから検討することになる。具体的にはこれからである。

 

自分の課題

 緩和ケア病棟やホスピスについて認識の浅い自分は、研修が終了しても、こうあるべきだから、こうしたいという課題は、今のところ持つことはできていない。しかし、実習中に、ここでゆっくりと過ごしたら、心のやすらぎを感じ、いやされて、死とむかいあえるかもしれないということを感じた。いうならば、そういう思いを感じることができる施設ができることかと思っている。

 

おわりに

 2ヵ月の研修も終了し、講義、実習とたくさんの学びを得ることができ心た。施設の内容は、実習報告会での話を聞いても、いろいろだなという思いである。これからは、ケアの質が問われることで生き残れる、残れないということになり、いかに中身の充実が図られるかだと考える。研修仲間とネットワークができたことは今後につなぐことになり、心強く、いい意味でライバルとしてお互いをみがけたら、この研修がさらに実り大きいものとなるのではないかと思う。

 

 

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