症状コントロールの中でも、がん末期患者の70%にみられるという疼痛コントロールにおける看護婦の役割は、まずは痛みのアセスメントからで、いっから・どこが どんなふうに・どれくらいということを査定し、うまくいっているのか否かの判断が必要となる。評価のツールかあると、皆が同じことを共用できるが、まずは昨日よりはどうかなということを、めやすとする。いつからモルヒネを始めるかはWHO方式に従うことになるが、モルヒネ使用に際しては、主な副作用と耐性を知り、特に便秘に関するケアは看護婦の大きな仕事となる。看護におけるコミュニケーションは、伝達するというだけでなく、患者・家族が抱える課題に対して望ましい結果が出せるように支援することや、ケアされている、気づかわれている、理解されているという気持ちになることで、安心感が生まれ、人間対人問の関係に発展してくることにつながる。そのための資質としては、相手の身になること、しっかり見守ること、自分自身がよい状態でいることなどが考えられる。
日常生活の援助に関しては、患者が希望することを、患者の生活習慣に基づいた方法で援助を行い、ベッドサイドを整えるにも細かい心がけが必要となる。
家族ケアについては、家族援助論として今家族とは患者も含めて一単位として援助を考えていくべきで、患者、家族とは切り離すことはできないという家族看護学をはじめて学んだ。家族との問題も、今までは自分の価値観に基づいて判断し、家族をとらえていたが、これからは家族看護学として何が問題か、看護上の問題の明確化から、家族看護計画、援助、評価と家族看護過程が展開する方向へとすすむのではないかと考えている。
進行がん患者の心理的特徴としては、波がある。bad news後の抑うつだけでなく、再発や転移への恐怖、身体機能の喪失、迫りくる死といった感情の激しい場面での心理状態の変化がみられることである。?診断時の心のケアとしては、がん患者は病院に入院する前も後も一貫した社会的存在であることを踏まえ、孤立化、疎外感を理解する。?再発・進行期の心のケアは、初回治療が不成功に終わったことを一旦は共に受け入れる。人に頼らなくてはならないことへの心理的苦痛を理解する。?終末期/積極治療中止後の心のケアは、見捨てられることへの不安への援助。個別性を尊重すること。死にゆく「人」が「終末期 がん 患者」として特別視されないための十分な配慮をすることである。
緩和医療にはチーム アプローチが必要だといわれるが、これは医師は症状コントロールに集中する傾向となることで、患者にとって何がベストなのかのみきわめをチームで話し合うということで必要となる。その人にとって何がいいかを決めるのは本人たが、判断はチーム全体で考えることになる。やはり大切なのは積極的なコミュニケーションとなる。
最後に緩和ケアにおける患者のスピリチュアルケアは、患者への身体や精神と同じように患者の魂の面へのケアもすべきであるということを理解した。患者をひとりにしないこと、その患者その人自身が本当に大切な存在であること、または、そうであったことを態度で示すこと、と記されている。私たちは患者と人と人とのかかわりを通して、患者ひとりひとりの価値観を大切にして、患者個人の生きてきたことに対しての問いかけを行うことで、心の平静さを増すように援助していくことを考える。
病院実習を通して学んだこと
緩和ケア病棟の第一の目標は、適切な症状コントロールであり、実際に患者に接して認識することができた。疼痛コントロールがついているため、苦痛様の顔貌もなくおだやかであった。ベースとしてモルヒネを使用しても、症状コントロールがつかないときはセデーションも行われていたが、カンファレンスで話し合いを持ち、患者・家族にきちんと説明し話し合って、軽い鎮静からコントロールが図られていた。家族は患者の苦痛のない状況が受け入れられており、苦痛のある状況では、きっとそばで落ち着いてみてられないのではないかと思った。看護婦は患者の疼痛のアセスメントを行い、自分の判断で調節しコントロールが図られていた。
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