目標4)については、家族看護学と家族援助の実際について学びました。家族援助を考える前提として、看護婦は家族ではない、患者と家族を一単位としてとらえ援助する、問題解決の当事者は本人と家族である、生き様が死に様である、家族関係が軋轢している実態を把握する、ということを理解していなければならないと知りました。考えてみると今まで私は、患者さんと家族を別々に考えていて、家族も看護婦の援助の対象と考えたことはなく、とちらかといえば患者さんの援助者としての役割を期待していたように思います。これからは家族も患者さんと同じように心理的な変化があり、援助を必要としていることを忘れないていたいと思います。さらに患者さんの死後も家族の悲しみは続いていることを考え、グリーフワークについても考えていきたいと思います。
この他に、生命倫理、コミュニケーション、チームアプローチについての講義かあり、たくさんのことを字びました。
生命倫理では、「今、この患者になされなければならないことは何か」「患者の意思を尊重し、益となることをし、害となることをしない」ということを聞き、何かに迷ったり、壁にぶつかったりしたときには役立てていきたいと思います。
コミュニケーション論では、基礎から実際までを学び、いろいろなことに気づくことができました。対人関係に必要な資質として、「相手の身になること」「しっかり見守ること」「自分自身が良い状態でいること」と学び、一つとしてできていない自分に気づきました。また、患者さんや家族が辛いときには、自分も辛かったことを思い出し気持ちを理解し、優しくなれる自分でいたいと思います。コミュニケーションについては、実習でもウォーキングカンファレンスを体験し、他の看護婦の関わり方を客観的に見ることができ、自己のコミュニケーションに役立てていきたいと思いました。
チームアプローチについては、講義を聴いた後で今までの自分を振り返って見ることができました。改めて、自分の思い込みや情報を得ようとする努力が足りなかったこと、そして理論的に話をすることか欠けていたことに気づきました。チーム内に不一致が生じても、それは当たり前に起こることであり、避けようとするのではなく、いかにマネシメントしていくか、プラスに変えていこうとすることが大切だと思います。そのためにはチームメンバーがなんでもいえるようなカンファレンスを持ち、理解的態度で傾聴し、評価しない、問題の本質を明確にすることか必要だと学びました。
コミュニケーション、チームアプローチにおいて、他の人の意見を聴くことと話の内容を確認すること、自分の話していることかきちんと伝わっているか確認することを忘れてはいけないと思います。これからチームで緩和ケアをやっていくために、医師とのコミュニケーションの在り方を考え直し、患者さんに信頼され安心感を与えられるようなチームワーク作りをしていきたいと考えています。
おわりに
この研修で、講義と実習からたくさんのことを学びました。現在の自分に必要なことや変えていかなければならないこと、当たり前になって忘れていたこと、そして自分の中にあったHIVに対する偏見に気づくことができました。講義の中には心に残っている言葉や、印象的な場面があります。ここで学んだことをこれからの実践に生かしていくためには、まず自分を好きになって行動すること、患者さんの意思を尊重し患者さんの味方でいること、いつも患者さんから教えていただくという姿勢を持つことを忘れずにいたいと思います。また、死に近づいていくということは大切なものを少しずつ失っていくことで、とても切ない気持ちになるということも学び、患者さんの悲しみや辛さに少しでも共感できれば良いと思います。そして、家族が後になってもあれでよかったんだと思えるようなサポートができるようにしたいと思います。
研修に来ていろいろな施設の方と知り合い、これから先悩んだり、迷ったりしたときに相談したり、情報交換することができるので大切にしていきたいと思っています。自分の目標のために8週間を過ごしたわけですが、自分と病棟を客観的に見たり、考えたりすることができてとても貴重な学習をさせていただきました。
最後に、お忙しい中、講義をして下さった先生方、実習に協力して下さった国立療養所東京病院の方々、担当して下さった小田式子先生、金子祐子先生、どうもありがとうございました。そして、2ヵ月の研修を受講させて下さった院長先生、病棟の皆様に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。
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