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3)患者や家族の心理の理解と心のケアの知識・技術を習得

 (1)進行がん患者の心理的特徴と援助、がん患者へのケアについて講義がなされた。キーワードとして「危機モデル」「コーピング」「歪んだ知覚」をあげている。危機理論、コーピング理論を用いることでその人の不足している部分が明らかになり、またどの過程で苦しんでいるのか解り、適切な介入ができるのではないかと感じている。また、事例をグループで危機モデルを使用して分析することを講師より課題として提出され、AguileaとMessickの危機モデル、Finkの危機理論を用い、各グループごとに分析し発表し心理論を使うことの難しさ、理論に振り回されないことの大切さを学んでいる。また、心理的特徴と援助のスピリチュアルケアに対しては、看護婦にもできるケアとして講義を受けている。キーワードは「罪責感」「生かされる援助」とし、看護婦は医療が手を出せなくなった後もケアができることの再確認をしている。そのことが我々の使命であることの言葉の意味を心に深く受け止めた。
 (2)家族の援助の講義では、先ず家族を理解するところから始まった。家族もまたケアを必要としている存在であり、患者がどのような終末を迎えたかにより、死別後の家族の適応に影響をすると気づかされた。家族が患者の死別後その家族を欠いた状態で社会生活を営んでいけるように患者の入院生活から関わり、遺族のケアへとつなげていくことの大切さも学んだ。

4)チーム医療の理念の理解とチームアプローチの実践

 (1)チーム医療は、チームの目標を皆が理解し、目標達成のために自分の役割を自覚し、実践することである。キーワードとして「リーダーシップ」「メンバーシップ」「葛藤」等をあけている。チームの構成員はそれぞれの立場を尊重し、対等な立場で意見交換し、緩和ケアの理念を共有することを学んでいる。そしてチームでケアをすることが、そのケアの質を向上させることも感じ取っている
 (2)緩和ケア病棟で働くには個人の死生観をしっかり持ち、死ということから逃げないことが必要である。そのためには「死」ということ、自分の死生観を問い直した。
 (3)音楽療法が心に与える影響は大きく、場合によっては癒しとなり、音楽療法を芸術療法の一環として取り入れている施設も増加し始めている。キーワードとしては「生態リズム」「f分の1ゆらぎ」「生理」と捉えている。 これらの学習を統合して実践の場で生かすためにはとのようにしたらよいかを実際に知るために、ホスピス病棟での実習を行った。発表の時間を2日間設け、そこで学んだこと、生かしたいこと、さらに各施設の指導者からもコメントをもらえた。そして、この実習を今後いかに生かすかという自分への示唆をも含めて、実習を含むこの研修のまとめを受講生各自がレポートにした。

 

 

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