今の環境庁より大きくなる分は、廃棄物行政が一緒になるということだけが今決まってることでして、その他、森林の保全ですとか、緑地の保全ですとか、化学物質の問題ですとか、いろいろな問題、これらについて、もっと環境省がかかわる分野を増やすんだということは決まってるんですが、じゃあ、具体的に何をどれだけ増やすのというところはまだまだこれからでございます。
先ほども言いましたように、環境行政というのは、住民の方々、市民の方々の大きな声の中で動いてきてるわけでございます。こういう大事な時期に、世の中から今の行革論議というのは山を越えてしまったというように見られてることに対して、ちょっと憂慮しているところでございます。このあたりなんかもっと、私どもも頑張らなきゃいかんというように思っております。
行政全体として、そのような動きがあるわけですが、環境問題として今、どんなのに取り組んでるかというと、まずやはり一番大きいのは地球温暖化の問題でございます。ご承知の通り、昨年、京都で地球温暖化防止のC
O P 3が開催されました。これを受けまして、日本では1990年レベルで6%のCO2等々、温暖化ガスの削減をするということが決まっております。今、政府全体として、どうやってこの目標を達成していくのかということがいろいろ考えられております。この辺なんかも、本当に考えていけば、先ほども言いましたように、全体としては世の中の仕組みをもっと変えなきゃいかん。そういうことなしで、部分部分の排出をちょっとずつ減らしていくというだけでは、なかなか達成できないのではないかなというように思っております。かなり厳しい目標を迫られております。
それから、最近大きな問題として、化学物質の問題があります。ダイオキシンですとか、環境ホルモンの問題ですとか、こういったような問題が毎日追いかけてくるといいましょうか、大変に業務として重くなってきております。もちろんこの化学物質の問題は、人体影響というだけでなくて、生態系に、野生の状態の生き物にもいろいろ影響をしているということがだんだんわかってきておりまして、全国的な大きな調査を始めたところでございます。
それから、アセス法の問題もございます。アセス法というのは、昨年成立しまして、来年の6月から施行されるということになっております。これ、環境庁にとって20年来の念願であったわけですが、やっと法律になったわけでございます。その中では、スクリーニングですとか、スコーピングといったようなアセスの途中段階において住民の方々、もしくは専門の方々の意見を反映させるというような仕組みもつくることができました。また、従来のアセスになかった新しい視点として、生物多様性の問題ですとか、自然とのふれいあいということで、身近な自然をどう評価するのかとか、それからその行為が地球環境全体にどういうインパクトを与えるのか、具体的に言えば、CO2の発生源になってしまうのかといったような、視点も取り入れられております。
こんなようなことに、私どもは今、追いまくられておるわけでございます。そういう中で、また藤前干潟の問題などが起きております。諌早湾に続いて藤前でも環境庁だらしなかったらもうなくなったほうがいいよと、こう言われてるわけです。ご承知の通りあそこは、今の日本の干潟の中ではシギ、チドリが最大数、数としては一番来るところでございます。ですから、干潟を保全する必要性はもちろん理解されていると思っています。ところで、あの問題はもう一つ、環境行政の重い宿題といいましょうか、課題を抱えております。それは廃棄物の問題でございます。あそこの干潟を埋めるのは、廃棄物で埋めるということでございまして、干潟の自然環境を保全するんだという動きと、もう一つ、なんでそんなに廃棄物が出るのかというのが、あそこで問われておるわけでございます。もっと減量しなさい、リサイクルしなさいというようなことで、そもそもその行為の発端となることをなくせばいいじゃないかというようなこともいわれているわけでございます。
そんなのがありまして、私ども、毎日毎日、実は追われているわけでございますが、私の担当する自然環境の分野でいえば、生物多様性の保全というのを今後どう進めようかというようなことで、いろんな勉強をしているところでございます。先ほども言いましたけれども、生物の関係では、調査そのものに、とても膨大なマンパワーが必要になってきます。たくさんの人たちの手を借りながら、なんとかその生物環境の調査、自然環境の調査を進めたいと思っております。