日本財団 図書館


会費は素敵な会報が年に4回ぐらい行くとかなりなくなっちゃうんだと思いますけれども、あるいはボランティア活動なんかに参加してくれて、このトラストの活動、ナショナル・トラストの県の活動それ自身を応援してくれればそれでいいという、ある意味では、とても日本社会に合った方式かなと思うんですけれども、会員への負荷があまり大きくない会員制度です。ここを、先ほど、小網代の市民活動グループはターゲットにして、何千人か増やしてしまったということをやったわけですが。

 こういう組織が、今小網代について、どういうビジョンで、何をやってるかというと、第一に、小網代緑地の管理を担当します。それから、小網代の森保全・管理活用構想などというのを財団においてまとめています。それから、現在、1998年時点で、小網代の森保全対策協議会という情報交換会議を運営しています。ここには、学識経験者のような者とか、行政の人とか、それから先ほど言ったような地元でずっと活動している市民団体の代表であるとか、地元の継続活動はないけれども関連の重要な市民団体の代表であるとかが混ざって、半定期的に会合を開いて、情報の交換や、小網代の森の現状における保全対策を協議したりしています。いってしまえば、この場で、市民活動と行政の連携を可能にしているわけです。

 そして3番目のアクターというか、主体は、さっきも言ったように市民団体です。小網代の野外活動調整会議に飛ぶ前に、まずは小網代の森を守る会というのを説明しなければいけません。1990年以来、現在まで、小網代の森の保全活動を中心になってずうっとやってきたのがこの会です。ふた月に一遍の自然観察会と、クリーンアップ、それから、さっきも言ったように、トラストの基金への寄付活動だとか、カニパトロールだとか、多様なことをやります。この会にお付き合いしてくれる周辺の自然保護団体、あるいは関心のある学校等というのがいくつもあるんですね。ここには、横浜自然観察の森友の会とか、鶴見川ナチュラリスト・ネットワークとか、横浜金沢キャッツとか、それから、橘学園中学・高等学校、大師高校とか、以下いろいろあるわけです。こういう応援団の応援を得て、小網代の森を守る会というのが、数年前からカニパトロールを会独自の活動から、カニパトネットワークという形にしました。そのカニパトネットワークをさらに広げて、去年から「小網代野外活動調整会議」というように切り換えたんです。

 この小網代野外活動調整会議は、小網代に出入りする市民活動のネットワークをつくって、小網代保全の啓発とくにマナーづくりを共同してやる。マナーづくりというのは、まだ森は保全されておらず、道、川、海岸以外は基本的には私有地なんですけど、保全されたと勘違いして地権者に迷惑かけちゃうような訪問者もいるわけですね。そういう人たちに、こういうことはしないでくれ、ああいうことはしないでくれとお願いをするとか、あるいはテレビだとかジャーナリズムがやってきて、まだ保全されていないのに、もうここは守られたと思って、いろんな報道をしちゃうわけですけど、そのときに、たとえば、そういうお願い条項を、調整会議が文書にしています。さらに、各種の市民団体が、秩序なしで自然観察に入ってくるとオーバーユースの心配であるとか、地元とのトラブルがいっぱいあります。それも、こうしない、ああしないと、いっぱい合意事項をつくって、文書にしました。そんなことをして、なによりもまずマナーづくりをやっています。各種の調査・調整活動もあります。市民団体がどんな形で小網代で活動しているかと総合調査して、情報を集約し、インターネットで全部公表します。この情報は、県にも財団にも提供します。小網代野外活動調整会議は、そんな調整組織なのですが、この組織が、カニパトの時期の安全確保や、清掃や、情報収集など、同時に財団の管理作業の側面支援もするわけです。小網代の森保全対策協議会を通して情報交換を進めつつ、小網代の森の保全・管理の現状においてトラストが進めなければならない仕事の、側面支援ということですね。

 たとえば、保全・管理に関わる活動で特に重要なのは、夏です。7月から9月ぐらいにかけてのカニパトネットワーク。これは、今年も、ボランティアが100人規模のローテーションを組んで、大潮の週は3日か4日海岸に詰めて、夕方ずっと現地にいて、来る人のお世話をするというようなことをやりました。しかし大潮でない週を含めて毎週実施する実力はまだありません。とはいえ、大潮の夕方でないときにも人が来てしまう。そのときどうするか。地元の人たちといろいろな協議がありました。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION