生まれてから生涯にわたる時間系列として、環境教育というのを見据える必要があります。すべての年齢層に対する体系的な実施、そしてそこでは健全な環境倫理観を高揚し、環境保全創造のための主体的な行動という、そういう一つの、すべての年齢層に対する環境教育であります。その中に、当然生涯学習社会ですから、学校という一つの段階がありまして、そこのところでは学校における環境教育がなされるというふうに考えるわけです。
もう一つの軸は、この黄色くありますように、やはり家庭・地域との連携に立つ環境教育という側面があるかと思います。やはり学校だけじゃなくて、ますますここの側面というのがこれから大きくなるかと思います。欧米なんかの環境教育なんかを見てみますと、非常にこの地域での環境教育、特に子どもたちが地域でいろいろな施設等を活用して、そしてそこには専門家や社会人、ボランティアの方々の直接指導の下に、かなり長期間にわたって環境学習を継続的に行っているという例が非常に多くあります。あんまり学校の中というのは、どこの国でも、所詮は学校というのは教科の勉強というのがありますので、むしろそういうダイナミックな環境体験学習というのは、ほとんどもう地域学習でやっているというのがほとんどであります。そういう意味では、これからわが国におきましても、関係機関との連携とか、そういったところの人材の活用とか、それからどういうところで、どういう環境学習が行われてるかという情報ネットワークの推進、それから社会教育、地域での環境学習の場の充実、機会を拡充していく。こういつたことが、これから非常に大事になってくるかなあと思います。
それから、やはり学校での環境教育というのが、先ほどからご説明しましたように、非常に大事になります。やはり、学校からの環境教育というものを考える場合、大きく3つありまして、一つは環境から学んでいくという、そういう、特に子どもたちに環境についての感受性や関心をもたせるという、そういう側面。それから、環境について学んでいくという、環境についていろいろと理解や認識を得るという側面。それから、環境のために学んでいくという、そういう具体的な問題解決のための実践的な態度や能力、やはりそういった側面から、学校での環境教育というのを見ていく必要があるかと思います。
それから、先ほどから何回も言いましたように、教科というものだけに埋没しないで、教科間等の連携というものが必要ですし、今度の2002年から始まる新しい教育課程では、総合的な学習の時間というものを、小学校、中学校、高等学校で、教育課程に位置づけられまして、そこでは思い切ったダイナミックな、教科を離れて、教科の枠を越えた、縦割りでない、そういうダイナミックな学習ができる、そういう時間というものが設けられておるわけです。そういう面で、先生方のより一層の取り組みというのが期待されるわけです。
そして、そういった3次元の座標軸の中核をなす考え方、これがこれからの開かれた学校に基づいた、子どもたちがたくましく生きていく力を育むための環境教育というものが、21世紀のわが国の環境教育で求められているのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。
そこで、この家庭・地域との連携に立つ環境教育という軸が、これが時系列の時間的な軸に対して、この家庭・地域との連携に立つ環境教育というのは、いわば空間的な軸であるというふうに言えますけれども、それをもう少し開いてみたのがこれであります。先ほど言いましたように、もちろん学校の中での環境教育というのは一義的に非常に大事なんですけれども、やはり学校というのはすべて環境教育だけやっているというわけになかなかいかない。いろいろな基礎的な勉強があるわけであります。そういう面で、これから完全週5日制にもなるし、そうなりますと、より一層家庭・地域との連携に立った環境教育というものが必要になってくるかと思います。
例えばその例としてどんなものが考えられるかといいますと、家庭における親子の共同体験の機会の充実というのがあります。こういった親子が一緒になって、特に幼児期で、親子が一緒になって、ある、例えば社会教育施設とか等々、あるいは親子が一緒になって自然の中でいろいろと体験する、そういった機会というものがやっぱり家庭教育で非常に大事で、こういった原体験というのが、やはり学校でいろいろなことを学ぶ基礎になっていくわけです。ただ残念ながら、今はこういった子どもたちが、あまり昔と違って、自然の中で遊んだり、