言うのは易しいんですけれども、なかなか難しい面があるので、先ほど言いました環境教育というのは、ただ知識を与えるだけじゃなくて、かなり豊かな体験というものが非常に大事です。特に子どもたちの小さいときの原体験という、例えば自然や社会や、そういった原体験というものが大事になってくるわけでありますけれども、この自然の体験というためには、それなりの教師の訓練というものが必要であるわけです。ただ子どもたちを外に連れていけばいいということではないわけでありまして、やはり豊かな環境からいろいろなことを感じ取るというか、そういった教師の訓練が必要であります。そういう面で、教員のいわゆるフィールドワークといいますか、そういったものの資質・能力が必ずしも十分に備わっていないために、どうしても知識の詰め込み的な環境教育に陥りがちであるわけであります。この点は、社会教育、先ほど言いました、いろんな自然の家とか、その他社会教育なんかではかなり体験的な専門の先生方、そういったフィールドワークの非常に強い先生方から直接教わる機会というのは多いんですけれども、なかなか学校ではそういったフィールドワーク等に対して資質・能力を十分に持った先生というのが得られていないということがあります。これは、同時に、先生方をつくり出す大学の教員養成大学のカリキュラム等においても、そういったものが十分に訓練されてないために、そういう先生が生まれにくいという側面もあると思います。そういう面で、これからその辺のところをかなり改善していかなければいけないという思いであります。
この環境教育というのが非常に総合的なものでありますために、必ずしも他の教科と同じように、場面とか問題によってはどれが正解であるとか、そういったものが必ずしもはっきりしなくて、立場によって異なってくるという側面をもっています。また、価値対立的な学習という側面ももっています。そういう面で、先生方がなかなか指導しにくいという側面もあるわけであります。そういった実践上の問題点というのが、今全体によくいわれてる問題であります。
そういったことを踏まえまして、それではこれからの環境教育、非常に大事なわけでありますけど、改善・充実の方向ということについて、これからいよいよより一層充実していくということが大事であるということであります。
その具体的にはというところで、先ほど言いましたように、教科の中で、ややもすると埋没していた環境教育、各教科の連携・協力を図るということが非常に大事であるということです。そういう意味で、先生方の協力的な指導というものが非常に大事になるということが?です。
それから、そのためには、教科を越えた横断的・総合的な環境学習というものが行われる必要があるわけでありまして、実は2002年、平成14年から、新しい小・中・高等学校の教育課程がスタートするわけですけれども、その中に、総合的な学習の時間というものを位置づけることになったわけであります。これは、小学校の3年生以上、中学校、高等学校に共通に設けられる時間ですけれども、端的に言いますと、今までの国語とか数学とか理科とか、そういうものはもちろんありますけれども、それ以外に、教科横断的なそういう時間、これがきちっと設けられたわけであります。この総合的な学習の時間で何を行うかは、すべて学校に任されておるわけでありますけれども、例えばその中の例として環境学習といったようなものも挙がっているわけであります。先ほど言いましたように、各教科で基礎的なことは勉強するにしても、総合的な能力や実践判断力をもつ環境学習は、こういう時間が設けられますと、そこでいろいろな、それぞれの学校の地域に応じた、また子どもたちの発達段階に応じた学習を行う、そういう時間が今度保障されますので、今までと違って、積極的に行うことができるんではないかと思っておるわけであります。そういう面で、この総合的な学習の時間というのは、環境学習だけやるわけではありませんけれども、かなり環境学習が重く位置づくことができるんではないかと思います。
それから、やはり環境というのは、ただいろんな体験をしたり、知識を覚えるだけじゃなくて、やはり子どもたちの積極的な、この環境を調べる学習、そして子どもたちが積極的、主体的に関わり合っていく、そういう態度が必要かと思うわけであります。そういう面で、より一層こう問題解決的な、体験的な学習というものが重視されなければならないし、先ほどの総合的な学習の時間は、まさにそういう方法で行われるかと、こういうふうに思っております。
それから、やはり発達段階というものを十分に考慮しなければならないかと思います。