こういった総合的な態度とか、行動力とか、そういったものが育たないということ、このことがまた学校の環境教育をある面で難しくしているわけであります。どうしても、学校の先生というのは教科の専門家ですから、縦割りの教科、その教科の中で環境について教えることはできても、それをトータルとして教えるという、そういった時間とか、場がなかなかないと理想的な環境教育というのができにくいというところにあるわけであります。
それでは、わが国の環境教育の現状というのはどういうような状況になっているか。従来わが国の環境教育というのは、小学校・中学校・高等学校ともにそうですけれども、先ほどから何回もいいますように、社会科とか理科とか保健体育とか、技術家庭とか、道徳とか、そういう教科の中で子どもの発達段階に応じて環境に関する学習というものは行っていたわけであります。理科は理科の中でやる、社会科の中でやるという、そういう感じです。
そういう中にあって、先ほどの環境教育の狙いというのはかなり総合的なものでありますので、これから、あとで言いますけれども、そういった環境教育だけじゃありませんけれども、教科の壁を越えた、英語ではクロス・カリキュラムといってますけれども、教科の壁を越えた総合的な学習というものができる、そういう時間が、学校教育の中に、教育課程の中に位置づけられませんと、やはり総合的な意味での学習というのができにくいんではないかということで、今回の改定で新たに総合的な学習の時間というのを設けることになったわけであります。そのことは17ページにちょっと書いてありますので、また後ほどお話したいと思います。
それから、もう一つ、これからの環境教育を考える場合に、その教育というのが、ややもすると日本の場合には、学校というものに非常に重点が置かれて、教育というとイコール学校教育というふうに考えられていたわけでありますけれども、これからはもっと家庭の教育、あるいは社会教育、学校外の地域社会における教育、そういうものと学校教育が連携をしていかなければいけないということが非常に重要になってきております。現在でも、学校外で環境について、社会教育の一環としていろいろな場所で子どもたちの環境学習が行われていることが多々あります。いろいろな国立少年自然の家とか、その他いろいろなボランティア活動等々、あるいは社会教育施設、そういったところを使っての環境学習というものが非常に行われ始めてきております。
これは、一般に休みの多い諸外国なんかは、夏休みも非常に多いですし、それから完全学校週5日制という形態をとっている国では、社会教育における環境教育というのが非常に盛んで、子どもたちや親を含めて、継続的、計画的に行われております。わが国も2002年から、完全学校週5日制に小・中・高等学校になりますので、より一層学校以外での環境学習の受け皿といいますか、そういったものを充実していく必要があるんではないかと、こう思っております。
環境教育実践上の問題点として、わが国において、学校における環境教育というのが非常に盛んにやられているかといいますと、近年各学校、各地域とも、一般的には盛り上がり、関心をもたれてはおりますけれども、いくつかの問題点があります。
一つは、先ほどから言いますように、環境教育というのは非常に学際的な広がりをもったものです。ですから、今までのように、各教科とか、道徳、特別活動、そういったところで、個々ばらばらにやっていても、あまり実りがない。そういう面で、もっとそういった教科等の連携、そしてそういったものを総合的に扱うということが非常に大事になってくるわけです。
その一つの解決策としては、環境科というような独立した教科、ちょうど国語とか数学とか理科と同じように、環境という独立教科をつくって、そしてその独立した教科の中で環境の総合的な立場から学ぶと、あるいは実践すると、そういうのが一つ考えられます。国によっては、外国等では、この環境というものを小学校段階から一つの教科に独立して学んでいる国もあります。隣の韓国なんかも、環境というのを一つの教科として独立させて学んでいるところがあります。わが国の場合には、イギリスなんかと割合似ているんですけれども、そういう独立した環境科というのを特に小・中学校で公のカリキュラムの中では特に設けられておりません。ですから、先ほど言いましたように、各教科の中で学ぶと同時に、これからはお互いに連携していく、教科間で連携していくということが大事になってきます。しかし、この連携というのが、