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聴講者のメモから

「ポスト京都会議の地球温暖化対策」

1997年12月1〜11日 気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)京都で開催

○議定書の内容
・目標年次は2008〜2012年(5年間)
・先進国は'90年比△5%(OECD24国と市場経済移行国を合わせて計38国)温室効果ガス削減
・国別に差異化(日本△6%、米△7%、ヨーロッパ△8%、ロシア0%、オーストラリア+8%)
・植林や再植林などによる吸収源を加算
・6つの温室効果ガスをC02に換算したものが削減対象
・共同達成を認める  ・排出権取引制度の導入  ・先進国の共同実施を認める
・途上国との協力をクリーン開発メカニズムとして制度化

○温暖化問題の事例
1)フロンガスによるオゾン層の破壊という事実を科学者が発見→モントリオール議定書
2)代替フロンの発明→これも温暖化効果あり→将来予測2100年までに平均気温が2℃上昇
  海面60?位上昇→警告
3)環境ホルモンが3番目となるだろう

○削減目標の決定のプロセス
 科学者→技術者、経済学者の出番  日本は官僚だけで決めた(首相を本部長とする対策本部を設置 大本営的発想)
 通産省は省エネルギー法(トップランナー方式)環境庁は温暖化対策推進法(基本方針的で内容乏しいもの)

○対策の方向
・自主的取り組み→経団連の立場、政府の規制や税金等は御免 責任あるケア
・規制的措置→トップランナー等の規制、義務化の方向  いずれもあまり推奨できない
・経済的措置→インセンチィヴの導入で充分実施可能と考える 税金等で差別化
       アーヘン方式
       量産効果による低価格の実現

○  C02排出の実態
      産業部門→48% 横這い 不況の影響もあって伸びていない
      運輸部門→23% +16% 高級車やRVの増加 燃費効率の悪い車
      民生部門→29% +16% 家庭と業務 (エアコン1台から2〜3台へ、家電製品の大型化、待機電力の問題、トイレのシャワレット、家庭用FAX等)

○温暖化対策の実施によってどうなるか
・経済成長率は下がらない。ウイナーズとルーザーインダストリーに分かれる。日本は低燃費車が得意。省電力設計の家電製品に特化等日本に有利
・大量生産 大量消費 大量廃棄 の20世紀型工業運営の見直し

大要以上の内容を分かりやすく実例を交えて興味深く講演された。
とくに今後の方策について、われわれができる方策についての提言は有益であった。

 

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