三つ目が、一番重要なことなんですけど、待機電力付きの家庭電化製品というのがものすごく増えたんです。例えばテレビのリモコン。あれは、いつリモコンのスイッチ押されるかわかりませんから、絶えず待っていなければいけないわけです。待機しているわけです。だから、電力を消費してるんです、常時。だから、四六時中電力を消費してるわけ。そういうリモコンスイッチ付きの家庭電化製品がいくつもあります。それから、この90年から95年の間に大変普及したものの一つとして、トイレのシャワレットなんていうのがあります。あれだって、たえず一定温度のお湯を溜めておくということなんです。そうすると、しょっちゅう電力を使っている。例えばテレビの待機電力ですけれども、リモコンを待つだけで、ひと頃というより、昔のテレビだったら5ワット使っていたというんです。その5ワットの電力をずうっと消費しているわけです。それは、最近は2ワットぐらいまで徐々に減ってはきているということですが、いずれにせよ、皆さま方のご家庭で1ヵ月に払う電力料金、あるいは使う電力、使用した電力のなんと15%が待機電力なんです。だから、待機電力って、考えてみたらとても無駄なことなんです。ですから、夜寝るときにテレビのコンセントをちょっと抜いておくだけでも随分な省電力になる。それから、もう一つその待機電力を使う筆頭というのがファクシミリです。家庭用ファクシミリ。あれはたえず待っているわけですから、常時電力を消費してるということなんです。
それから自動車の燃費効率についても、先ほどのような税制を導入することによって、低燃費車の税金を安くして、そして燃費効率の悪い車の税金を高くすることによって、どんどん低燃費車の普及を図ることができます。先ほども申し上げました通り、今走っている自動車は2010年にはほとんどもう走っておらず、新しい車に入れ代わっているはずですから、その平均的な燃費効率を10%ないし30%ぐらい向上させようじゃありませんかということなんです。
2003年には、トヨタ自動車が燃料電池の車というのを売り出すそうです。これは、どういうあれかといいますと、いわゆるガスです。都市ガスで電気を作って走るというわけです。これは、二酸化炭素の排出量がぐっと減るわけです。それから、場合によったら水素で発電して走るというやつです。そういう画期的な技術が次から次と開発されて、そして燃費効率をどんどん上げると、そのことの効果は大きいわけであります。
次に、最後に申し上げたいんですが、結局、この温暖化対策をすれば、経済に対して何が起こるかということなんでずが、私はその経済成長率が下がるなんていうことは、そんなことはあり得ないというふうに考えていますし、それはもう間違いないことなんです。ただし、別に経済成長率が下がったりはしないけれども、得する産業、ウイナーインダストリーと、損する産業、ルーザーインダストリーに分かれる。それから、同じ産業の中でも、ウイナーカンパニー、非常にそれで得をする会社と、ルーザーカンパニー、損をする会社に分かれるということなんです。
じゃあ、温暖化対策をやって一番損をする産業って何だろうか。石炭産業です。先ほど申し上げました通り、石炭というのはやっぱり大変なCOを出すと。それを燃焼させればですね。それに比べれば、天然ガスは、そのC02の排出が60%ぐらいなんです。石炭を100とすれば60%ということで、当然燃料転換が行われるわけです。石炭から天然ガスヘの。その結果として、石炭産業というのは徐々に衰退していくだろうということが予想されるわけです。オーストラリアは、やっぱりその石炭産業というのが最大の輸出産業なんです。日本だって、オーストラリアから随分石炭を輸入してます。だから、そのオーストラリアが温暖化対策に対して消極的なのはよくわかるんです。なぜなら、そういう石炭産業が徐々に衰退していったりすると、やっぱり失業者もどんどん出るということになるわけですから。ところが、日本というのは、もう石炭産業はもはやないに等しいわけです。ですから、そういう意味で、日本は温暖化対策の最もやりやすい国だ。なぜなら、ビッゲスト・ルーザーがいないからということになるわけです。
それから、日本の自動車メーカーというのは、どちらかといえば低燃費車を作るのを得意としていますから、日本の自動車産業も明らかにウイナーだということになるわけです。そして、日本の電機メーカーというのも、省電力設計の家庭電化製品を作るのを得意としてるはずですから、日本の家電メーカーもやっぱりウイナーじゃないか」太陽電池の開発というのを早くから手掛けているような電機メーカーは、