日本財団 図書館


聴講者のメモから

「21世紀とボランタリー活動―兵庫県の取り組み」

 

環境保全のために、我々がやっているボランタリーな活動の位置づけ

○今日の不況は第三の維新の兆
 最近の日本は経済という面から見ると大変な状況だ。金融の破綻と財政破綻は戦後の体制が崩れ去ったということを意味している。今後の体制はボランタリーな活動の領域が拡大していることから、社会体制の中にもう一つのセクターとして組み込まれるようになる。

○兵庫県のボランタリーな県民運動
  県民のボランタリー活動は、以前は生活運動だった。「人間と社会と自然」を軸に、体系的な県民みずからの運動に進んできた。10年の間に県民運動の組織や団体が3500できた。大きな出来事として大震災があり、いろんな事を教えてくれた。
  ・近代的な都市が震災に弱い。
  ・コミュニティがある事は震災に力強い味方に。
  ・人間的なぬくもり、人間的な感動は、コミュニティの中にしかない。
   震災後も神戸市ではコミュニティを何とか作っていこうと努力している。

○21世紀は三元の社会秩序へ
  ドイツの学者は「20世紀はいろいろな秩序、社会秩序が実験された時代」と言っている。そして何より大きな出来事は、共産体制が崩れたことである。
  替わって市場経済に基礎をおく体制になる。つまり市場セクターである。また自由主義や自由資本主義に替わって、先進諸国の支配的な社会秩序は、市場基調の混合体制になる。もう一つ、企業でも個人でもない、そして行政でもない非政府団体が次々にでき、非営利的な活動が急速に拡大してきた。それが脚光を浴びたのがあの震災からである。我が国にこれだけのボランティアの潜在能力があることを教えてくれた。震災が契機となって我が国のNPOの組織化が急速に進むようになった。こうした広義のNPOの急増と、その社会的な役割の増大が、もう一つの新しいセクターを形成してきた。つまりソシアル・セクターである。
  社会の全体は、企業や個人が担い手になる市場セクター、友愛とか連帯とかを原理とする社会セクター、それらを援助し行政が担い手になる公共的セクターの3層で社会が成り立つと考えられる。

○県民運動の新しい展開
  NPO法の成立に伴う施行条例の作成にあわせて、「県民ボランタリー活動の促進等に関する条例」を作成した。さらに「兵庫ふるさと創生塾」を作り、各分野の指導者、リーダーの養成を目指し、4月に第1期生が出た。
  日々のささやかな活動が、新しい世紀を拓く活動だと信じてやっている。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION