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(5)共同センターの設立
盲導犬訓練施設では、それぞれの施設が独自に盲導犬繁殖・育成のためのプログラムをつくっている。しかし、今後、盲導犬の需要が急速に拡大した場合には、現在の訓練施設での対応可能容量をはるかに越えてしまうことも予想されることから、安定的かつ効率的な盲導犬の作出のためにも、 盲導犬共同繁殖センターの設置を必要と考える施設も多い。
また、各施設では、盲導犬訓練士の増員とともに、飼育・管理、繁殖・医療、パピーウォーカー、フォローアップ・アフターケアを行なう専門職の配置を計画しているが、その実現のために盲導犬訓練士・歩行指導員等養成機関の設置についても必要性が高まっている。

2−2 盲導犬の現使用者と元使用者 : 盲導犬に関する意識および課題

(1)盲導犬の現使用者・元使用者の属性
現在盲導犬を使用している視覚障害者(以下「現使用者」)は調査時点で838名である。そのうち、本調査で回答のあった510名を年齢別にみると、「50代」が32.9%と最も多く、次いで「40代」が25.1%、「60代」が22.7%となっており、40〜60歳代で、全体の8割を占めている。また、現使用者の平均年齢は51.9歳である。現使用者本人の職業は「自営」が全体の約半数を占めており、その他、「主婦」「雇用されている」が続いている。性別でみると、男性は53.1%、女性は46.3%と大きな差はみられない。最初に盲導犬を持ち始めた年齢は「40代」が最も多く、平均すると43.2歳であった。現在、2頭目、3頭目の代替犬を使用している人は4割近くに達している。なおこれまでの平均使用頭数は1.6頭であった。
盲導犬を過去に使用していた視覚障害者(以下「元使用者」)として回答のあった122名については、現在の年齢、職業、盲導犬を持ち始めた年齢などはおおむね現使用者と同じような属性になっている。しかし、盲導犬の平均使用頭数は1.2頭と少ないことから、元使用者の多くは代替犬を希望せずに盲導犬の使用を停止したことがうかがえる。盲導犬を使用しなくなってから「5年以上」経過した人が全体の44%になっている。

(2)盲導犬使用開始の背景と現状
盲導犬の使用を希望した理由として、盲導犬の現使用者、元使用者のいずれも、「いつでも自由に歩ける」「一人で気兼ねなく歩ける」「外出が安心・安全だから」など、歩行の自由度を高め、行動範囲を広げることを挙げている。そして、盲導犬を使うことによって、現使用者の91.6%、元使用者の79.5%はこれらの希望が「実現した」と考えていることから、盲導犬は使用者の期待に十分応えていると言えよう。このことは、そのまま盲導犬との生活に対する満足度の高さにも表れており、「満足している」「ほぼ満足している」を合わせると、現使用者の90.8%は満足層である。また、現使用者の82.9%は盲導犬を「ほぼ毎日使用している」と答えている。




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