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知的障害者福祉研究報告書
平成6年度調査報告  〜精神薄弱者福祉研究報告書〜


第2回「精神薄弱者福祉研究会」資料

委員ヒアリング(まとめ)

萩田秋雄委員 1994年6月9日 ヒアリング記録 6

萩田 秋雄氏(筑波技術短期大学 建築工学科 教授)
出席者 (財)日本船舶振興会 寺内係長
      (株)福祉開発研究所 宮森、小松、小林
場 所 第一ホテル

1. 現状

?@障害者の自立について
○わが国の障害者にとって、1番の問題は「自立」に関する問題である。
多額の費用がかかることから、その問題について避ける傾向もあるが、わが国には障害者の自立を促すような社会システムがない。
※中国における知的障害者は、第1次産業で生活できる。
※米国においては技能職の二分化により作業所(中、軽度知的障害)における業務の高度化、独占化が進んで新しい業態を生み出している。

2. 可能性を伸ばすシステムの構築

○知的障害者の可能性を整理して、それを伸ばすことができるようなシステムが必要である。現状において何が足りないのか、機能とハードの両面から考えていくことが必要である。
※アメリカは可能性に対して平等である。バークレー大学では2万人の学生の内、知的障害者が800人、学習障害者が400人、身体障害者が100〜200人いる。

3. 多様な選択肢の構築

?@分散配置型入所施設
○昼間に作業を行う空間(通所)と居住空間(グループホーム)を分けて設置し、それをひとまとめに考えて1つの入所施設として機能させる。

?Aミックス・コミュニティについて
○障害者が地域化するということは、居住が分散化することを意味しており、その地域生活を支える前提としては多様な障害者を受け入れること(ミックス・コミュニティ)が前提となるが、わが国ではそのような制度化は見られない。
※江東区「のびのび作業所」1棟のビルに作業所をまとめ、高齢者、知的障害者、身体障害者などが、地域に根ざして作業を行っている。無認可である。

4. 知的障害者に関する制度と実態の矛盾を明らかにする研究

○制度的な体系はあっても、それを担う人材が不足している等、制度と実態の矛盾を明らかにする必要がある。
法律の整理を行った上でそれを実態に照らし合わせてみる作業が必要である。


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