冨安 芳和氏(慶應義塾大学 文学部 人間関係学科 教授)
出席者 (財)日本船舶振興会:中村
(株)福祉開発研究所:宮森、小林
場 所 慶應義塾大学構内
1. 障害者の在宅生活を進めるために
?@住民活動("草の根"活動)への援助
○人口5万人程度の市町村で、市長以下、まちぐるみで障害者が暮らしやすいまちづくりを検討する地域を選定し、研究活動とその結論として出てきたものに費用を提供する。
○専門家や行政関係者からの出発ではなく、一般住民が主導する活動を通して、当事者(障害者・家族)が主役となるようなプロジェクトを起こす。
○援助の期限は5年間とし、その間の活動の過程は詳細に記録する。それをもとにして映画を作成し、広く地域に公開することによって、このような考え方を広めていく。
?Aジョブ・コーチの養成機関を作る
○障害者の可能性を伸ばしていくようなジョブ・コーチの機関を作る。
○大学等の教育機関において、障害者が学ぶことができるような環境づくりに関する専門家を養成する。
※アメリカの大学では、障害を持った学生に対して、専門家の開発による機器等を使ってサポートを行っている。このような体制により、アメリカでは要介助の障害者も大学で学ぶことが可能となっている。
?B知的障害者に関する国際シンポジウムの開催
?C開発途上国への専門家の派遣.専門書の翻訳
※スウェーデンにはCBSという制度がある。これはインドネシア、パキスタンなどに専門家を派遣してコミュニティベースで障害者が暮らしやすくなるためのノウハウを伝えるものである。
※以前、福祉連盟から発達障害者の地域生活について、他国語(中国語、ハングル語、英語等)に訳したものを発刊したが好評であった。
?Dレスパイト(ホーム)サービスに関する援助
○親の意識は変化してきており、安心して子育てができるようなサービスシステムの構築が必要である。
○人口5万人程度の市町村において、その1%の500人の知的障害者がいると仮定した場合、30床、つまり1ケ所4床のレスパイトホームがあれば知的障害者の在宅生活は可能となる。
○地区住民のマンパワーの活用を図れば(高等学校に働きかけて、週2時間程度の社会教育プログラムを提案する等)、コストは通常の1/20程度で済む。
※ヘルシンキにおける実践例であるが、20名の親たちが共同で出資し、市からの援助を受けて、常時4人の子どもについてレスパイトサービスが受けられるようなホームを開設した。ここでの子ども達の世話は、寮母が泊まり込みで行うほか、ボランティアの学生もあたっている。
室内の装飾(壁飾り、置物等)は預けられている子ども達の家にあるものを用いるなどの配慮が為されている。子ども達は2〜3日で入れ替わる。
?Eまとめ
○障害者ついて在宅生活の流れを進めていくためには、精神論ではなくテクニカルなプロジェクトが必要であると考えている。
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