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知的障害者福祉研究報告書
平成6年度調査報告  〜精神薄弱者福祉研究報告書〜


第2章 わが国における知的障害者福祉の取り組み

3. グループホーム

障害が重くても、住み慣れた地域で暮らし続けたいと望む障害者が介護を必要としても自己決定権を堅持しながら4人〜6名が、主体的に生活するための生活様式として、グループホームの有効性が認められるようになってきた。
1989(平成元)年度に国は、精神薄弱者地域生活援助事業(グループホーム)として制度化している。1990(平成2)年度には精神薄弱者福祉法の中で、精神薄弱者居宅生活支援事業の中の一つとして、第二種社会福祉事業として位置づけている。

ところがその普及に従して、「グループホーム」の概念が限定され、制度も硬直化していった面もある。その問題点としては、

?@グループホームには入所施設や通勤寮のバックアップが必須である。

?A住宅、支援にかかる費用は、入所施設に比較して非常に安価である。
世話人は1名が常識になっている。

?B住人は軽度で自立度の高い人が多くなる。

等があげられる。ところが、この制度はより障害の重い人にとって地域の中で生活してゆく場として、有効なものであることが実践等を通して、あきらかになってきている。ニーズに適応した様々なグループホームが求められる。

●グループホームを考える上でのポイント

?@地域の中にあること。

?A入所施設の傘下は必須条件ではなく地域に自然に融和していること。

?B普通の生活があること。
プライバシー、自由、自己選択、自己決定等の確保、QOLの充実をはかる。

?C障害の程度の如何にかかわらず、重度又は重複障害をもつ人たちが生活できること。

?Dグループホームは、障害者のハウジングの一つの選択であること。
住宅改造、公団、公営住宅の活用、借り上げ住宅、分数型ホーム等も考えられる。


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