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知的障害者福祉研究報告書
平成6年度調査報告  〜精神薄弱者福祉研究報告書〜


第2章 わが国における知的障害者福祉の取り組み

1. 入所施設

入所施設は、今まで「収容」「保護」という面から「地域生活援助」という福祉の流れの中で、役割を変えようとしている。精神薄弱者愛護協会はその会誌「愛護」中における福祉の動向として次のようにとらえている。

?@1982(昭和57)年から1984(昭和59)年〜施設のあり方をめぐって再考の時期〜
彼らが生活する施設とその機能がどうあるべきかが問われ、「施設の社会化、オープン化」「脱施設化」「地域福祉」、「コミュニティケア」などの問題が主に取り上げられた時期。

?A1985(昭和60)年から1987(昭和62)年〜施設利用者の人権を考える時期〜
施設に日々生活し、処遇を受けている。当事者の人としての権利、生活・処遇の中味・質が問われることになってきた。即ち、「人権」、「プライバシー」、「QOL」、「自己決定権・自己選択権」などが、中心的課題となった時期。

?B1988(昭和63)年以降〜障害者の自立の機をめぐって〜
障害者福祉の理念が生活障害から発達障害へさらに人格障害の時代に入っていった。

●入所施設を考える上でのポイント

?@地域の中における施設であること

?A専門性の充実
これまで蓄積してきたノウハウ、設備、マンパワーを駆使して、地域における家族の日常生活を支援する諸活動を行う。

?B他施設、機関等との連携
・短期入所事業
・地域共同作業所、グループホーム、通所施設等への支援事業
・巡回訪問事業、レスパイト事業等

?CQOLの充実
a.規制の多い生活から少ない生活へ
b.大きな施設から小さな施設へ
c.大きな生活単位から小さな生活単位へ
d.集団生活から個人の生活へ
e.地域生活から融離された生活から地域社会の中で統合された生活へ
f.依存した生活から自立した生活へ

?D退園プログラムの作成
通過型施設としての役割


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