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知的障害者福祉研究報告書
平成6年度調査報告  〜精神薄弱者福祉研究報告書〜


第1章 わが国における知的障害者福祉の歴史的展開

1. 入所型施設福祉の発展

(4)昭和40年代

●コロニーの設置
昭和40年代前半には、国立コロニーをはじめとして全国に地方コロニーが設立された。
コロニーは主としてアメリカで始まった、多様な障害と年齢層の精神薄弱者が入所可能な機能を持つ大規模施設であるが、「共同社会」の名の下に終身保護施設の中で社会から隔離されてしまう恐れがあるとして、当時アメリカでは、このコロニー制度に対する反省が出始めている時であった。

●ノーマリゼーション時代の到来
昭和40年代にはいると、ノーマリゼーションの理念のもと、統合的対処の波が押し寄せた。
「ノーマリゼーション」とは、ある理念に基づく一つの運動であり、人が社会の中で当たり前に生活する権利を主張するものである。
ノーマリゼーション思想の影響下で、施設の中においても、単に収容保護を行って衣食住を満たし生活させるだけではなく、専門的技術を駆使して、入所している精神薄弱者の能力の開発と、豊かな生活の喜びを味わわせる人間性の回復の場としての施設の役割に対する追求が始まった。
このように精神薄弱者の人たちの能力開発と社会参加を目標とする「障害者自身の福祉の質」に重点を置こうとする方向に転換し始めたのが昭和30年代後半〜40年代にかけてであった。

●在宅児(者)及び家族への支援体制の整備
・精神薄弱者相談員(昭和43年)
・家庭奉仕員(昭和45年)
・日常生活用具(昭和47年)
・療育手帳(昭和48年)
●日中の通園事業
・心身障害児通園事業(昭和47年)
・障害児保育(昭和49年)


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