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□ 〔「介助利用者ニュース」イギリス障害者団体協議会、1997年8月〕

グロースターシャー修正を強要

 

慢性疾患・障害者(修正)法案は、貴族院(注1)のアシュレー卿より提案された。本法案は、高等法院裁判官によって最近なされたグロースターシャーのケースでの判例に対する立法的な対応を意図したものである。判例では、地方行政当局は1970年の慢性疾患・障害者法(CSDP)の2節1項(RADAR広報1997年6月号参照)のサービスニードの判定にあたり、当該地方自治体の社会資源を勘案することができるとしている。

CSDP法(1970年)は、初めて地方自治体に対し障害者福祉推進の措置を講じる義務を課したものである。コミュニティケアサービスの利用者であるマイケル・バリーは、社会サービス局がニードに基づいて判定されたサービスを削減したことについて、グロースターシャー郡議会を相手どり訴訟を起こした。彼の論点は、このようは削減はCSDP法上、違法であると言うことだった。

バリー氏は1915年に生まれた。脳溢血と数度の心臓発作を起こしたことがあり、視覚障害を持つ。自宅で一人暮らしである。1992年に評価された彼のニードは、「ホームケアが週に2回来て、買い物、年金の事務、洗濯、掃除を行う。週4回、給食の宅配を受ける」であり、これらのサービスはアレンジされた。一年後の再評価では同じ判定であった。

1994年9月29日、バリー氏は議会より、これ以上評価された全てのニードを満たすことはできないという内容の一通の手紙を受け取った。掃除と洗濯のサービスは停止するとのことであった。グロースターシャーに対する中央政府からの配分金が250万ポンド減額され、とても要求を満たすことはできないというのがその理由だった。バリー氏やその他の居住者のケースでは、議会はニードを満たすことを義務づけられており、金がないというのは答えにはならない。グロースターシャーのケースでは、議会は彼のニード判定において全体的な資金減を勘案し得るとされている。

地区裁判所で審議されるまで、議会はバリー氏へ以前と同様のサービスを継続した。彼の弁護士は強く異議を申し立て、法廷では、法に則った判定がなされていないので議会の行為は違法であると宣告された。

郡議会が個人のニード評価において資源を考慮できるかどうかについて、裁判所は、地方自治体はケーキを切り分ける前にそのサイズのことを考えねば仕事をすることが不可能になる、と判決した。判決文ではバランスの取れた実施に触れ、一部の具体的な援助が不可欠であるのを承認することとは別に、バランスの取り方は議会の決定すべきことと結論づけた。この判決は、1970年のCSDP法の最低限の義務すら削除したように見える。

再評価なしに(サービスを)削減することは違法であるとの裁定に対して、グロースターシャーではサービス受給者1500名の再評価を行い、その数を450名にまで削減した。この間にバリー氏はこの件を控訴院に持ち込み、勝訴した。控訴院では、第一に利用者がニードが減少したことを納得していないならサービスの停止は違法であること、第二にニードに見合う措置を必要とするか否かの評価においては地方自治体が入手可能な資源について勘案する余地は残されていない、との判断をした。

この判決の結果、グロースターシャーはさらに再判定を行い、その際資源については勘案できないことになった。そこで地方自治体と州の保健局長は、上院での司法再審査を提訴した。宣言を行う5人の上院法務官の一人であるバーウィクのロイド卿は、ニードの意味を示し、次のような定義をしている。

「普通の日常生活を送るのに必要不可欠なことの欠如…。同時代的基準に照らした障害者個人のニードの評価は、関係するソーシャルワーカーの専門的判定に任せること」

 

 

 

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