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□ [補]新しい事業とする必要があるか

それにしても疑問なのは、『ガイドライン』で言われている「ケアマネジメント」と、「在宅の障害者に対し、在宅福祉サービスの利用援助、社会資源の活用や社会生活力を高めるための支援、ピアカウンセリング、介護相談及び情報の提供等を総合的に行うことにより、障害者やその家族の地域における生活を支援し、もって在宅の障害者の自立と社会参加の促進を図ること」を目的として1996年秋から始まった市町村障害者生活支援事業」で行うこととされている事業との差異が見えないことである。

実際、『ガイドライン』でも以下のように書かれている。

「平成8年度の新規事業である、在宅の障害者や家族の生活を幅広く支援していく「市町村障害者生活支援事業」の実施に当たっては、この事業がケアマネジメントと共通する点が多いと思われることから、この「身体障害者ケアガイドライン」の活用が期待されます。」(『ガイドライン』p.16)

ここでは─実際はどうであるのかは別にして─はっきりと両者には「共通する点が多い」と書かれている。しかし、厚生省は、1997年秋、「身体障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業」という長い名称の事業を打ち出した。

「市町村障害者生活支援事業」はまだ始まったばかりであり、その充実・強化が求められている時に、その1年後、なぜ、違いが明らかでない事業を─「試行的」事業ではあるにせよ─始めようとしているのか、理解に苦しむと言わざるをえない。

なぜ、「生活支援事業」の1年後にこの「試行的事業」を新たに開始しようとするのか、その根拠を明確に示すべきである。

第一に、両者に共通する部分が多いのであれば、2つの財源をもつ別の機関が似たような仕事を行うということになる。これは予算の適正な使用という意味からも問題がある。このことをどのように考えるのか、どのように解決するのか。これを、利用者に対して、また納税者に対して、明らかにすべきである。

第二に、両者が異なるものだとするのであれば、どこが異なるのかをはっきりさせ、その差異の部分についてその正当性を主張しなければならない。しかし、どこに意義のある差異を見出すことができるだろうか。

「複合的なニーズ」への対応だろうか。しかし、『ガイドライン』における「複合的なニーズ」という主張自体に問題があることは、述べてきたとおりである。

(「複合的なニーズ」の一部である)「保健・医療・福祉」の間の調整だろうか。たしかにこの生活支援事業にあって、保健・医療は前面にはでていない。そもそも私たちは、これを前面に出す必要がないと考えている。けれども、4.「事業内容」の(3)「社会生活力を高めるための支援」の5.は「健康管理」であり、(5)「専門機関の紹介」には「医

 

 

 

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