てしまい、行政の担当者たち、福祉サービスに従事する人たちが、自らに疑問を感じることなくそれでよいのだと思い続け、それが、「ケアマネジメント」のあり方にも影響してしまうことである。
(3) 本人と家族とが並列させられている
「本人と家族の間で意見の違いがある場合は、両者間で話し合いをするように助言します。」(『ガイドライン』p.11)
このように「本人と家族」とが同じ位置に置かれている。他にもこうした箇所が数多く見られる。例えば、
「選択肢の中から本人(及び家族)が望むものを、本人(及び家族)の自己決定により実施することが大事です。」(『ガイドライン』p.3)
おそらくこれは、現在の福祉(及び医療)職従事者の感覚そのままをなぞっているものである。しかし、「家族の自己決定」とは何か。本人のことを家族が決定して、なぜそれを「自己決定」と呼ぶことができるのか。まったく不明である。家族の意見や意向は尊重すべきものではあるだろう。しかし、優先順位としてはどうなのか。少なくとも「自己決定」を掲げるのであれば、まず「本人」の意向が尊重されるべきである。
このような文言のすべてに、このような問題に対する『ガイドライン』作成者たちの自覚のなさが現われていると言わなくてはならない。しかもこれは『ガイドライン』を作った側の問題だけではないのであり、ソーシャルワーカー、行政の担当者全般に見られる傾向なのである。前に記した家族によるケア優先の発想と同様、明確に自覚されてはいないが確かにサービス供給の現場に存在するこうした枠組みが、『ガイドライン』においても反復され、現状が追認され、そのままそれが実践の場で「自然」に流通し続けることによって、『ガイドライン』自身が掲げる「障害者の自立」「障害者の主体性、自己決定の尊重」が阻害されるのである。
(4) 公的サービス供給主体の複数性が想定されていない
先に引用した文章をもう一度引用したい。
「利用するサービスは公的なサービスを中心と検討しますが、公的サービスによってニーズが十分に満たされない場合に、民間団体による非営利サービス、シルバーサービスなどの営利サービスの活用も検討します。
このほか、ボランティア、親戚、近隣の方々等によるインフォーマルサポートの活用も重要です。」(『ガイドライン』PP.12-13)