4 ケアのガイドラインたりうるか
(1) ガイドラインの不在・暗黙の前提の問題性
「障害者ケアガイドライン」は、市町村等が障害者への保健福祉サービス等を実施していく上での理念、基本原則、実施方法を明らかにすることにあります。」(『ガイドライン』P.1)と最初にあるが、この『ガイドライン』は、サービス供給システム、そしてサービス供給の基準にほとんど立ち入っていない。しかし、これらの基準を普通「ガイドライン」と呼ぶのではないか。─「ケアマネジメントには人々の生活をよりよく維持するために、サービスのガイドラインが求められてくる。現在のところ、外出・食事・入浴・排泄など人間が生きていく上で最低限度必要な生活行動の維持についてもガイドラインは設定されていないが、これを欠いてはケアマネジメントの目標も現実のサービスの有無に左右されてしまう。これはケアマネジメントが根底から崩壊することを意味する。」(谷口[1995:35])
『ガイドライン』の次の段落では以下のように記される。
「すなわち、地域における障害者の生活を支え、自立と社会参加を促進するためには、介護サービス等の公的サービスの質的、量的整備と併せて、これらのサービスを、障害者一人ひとりの抱えるニーズに対して、的確に提供していくことが必要であります。本報告書はそのためのガイドラインということになります。」(『ガイドライン』P.1)
「的確に提供」するためとして、「ケアの基本理念」「ケアの原則」が並べられ、その後「ケアマネジメント」のシステムがあげられているのである。私たちは既に、このうちの多くの部分を検討し、その問題点を指摘し、曖昧さを指摘した。特にケアマネジメント自体が、サービス供給システム全体のどこにどのように位置づくのかが明確にされていないことを指摘した。ケアマネジメントが「ニーズに対して、的確」な提供に結びつく、その道筋が不明であると述べた。
とはいえ、『ガイドライン』のところどころに─おそらく、あまり自覚されることなく─想定されている枠組みが見える。そしてそれについてもまた、問題点を指摘せざるをえない。
(2) 家族によるサービスが優先されている
A 「総合的な評価によって明らかにされたニーズに対応するために、利用者(及び家族)ができること、公的サービス、民間サービス、インフォーマルサポート等の社会資源の全てを活用し、ケア計画を作成します。」(『ガイドライン』P.12)