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3 どんな権限をもつのか

 

(1) イギリスの場合

ケアマネージャーは、どんな権限をもつのか。この点が『ガイドライン』では曖昧である。

しかしこれは重要なポイントであり、サービスの利用者が懸念するのもこのことに関わる。ケアマネージャーはいったいどのような役割を果たすのか。

イギリスではケアマネージャーはサービス供給の決定に関わる。ケアマネジメントは、現実には、どのサービスを切るかをアセスメントするという性格をもたざるをえないものになっている。その結果、ケアマネージャーは利用者から警戒される存在となり、きわめてストレスに満ちた仕事に従事しなければならなくなる。このことははっきり認識しておく必要がある。実際、コミュニティケア、ケアマネジメントの「先進地」イギリスでは、以上の危惧が現実のものとなっている。

イギリスでは、歳出削減の圧力が強く、福祉予算もカットできるところはカットしたい。そこで、ケアマネージャーは予算を削減したい自治体行政当局の意向を受けた活動を行う、あるいは行わざるをえない(*08)

実際、サービスの利用者の受け止め方はそうしたものだった。例えばランベスCILの2人の女性は、マネージャーが利用者本人にとって脅威であることを語った。基準がないから、その年々の自治体の予算と、それを受けたマネージャーの采配が生活を左右する。また、そのマネージャー=ワーカーがどういう人であるかという偶然にも左右される。マネージャーに対して文句を言えない。ニードの再評価は、しばしばサービスの切り下げにつながる。ただ彼女らの場合はまだよく、自分で情報をもっているし、主張もできる。またケアマネージャーの来訪時に仲間に同席してもらい、自らの説明を補ってもらうなどサポートを得ているという(これは禁止されてもいないが、法律的に保障されてもいない)。こういう環境にいない一般の大多数の人達の場合はもっときびしい、とも語っていた(*09)

多くのケアマネージャーが利用者と一緒にサービスを組み立てていくという立場に立てていないことは、マネージャーの大多数は真剣に仕事に取り組んでいるのだと力説していたジョン・キープ氏も述べていた。例えば、ケアプラン(の写し)を利用者に渡そうとしないことが多いという。不服申し立ての制度はあるが、十分には機能していない。他方、マネージャーが利用者の立場に立とうするなら、その人は、今度は行政当局と利用者との間で「板挟み」になって悩んでしまう、ジレンマに陥ってしまう。このこともキープ氏は指摘した。

 

 

 

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