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センターのスタッフの潜在的な能力がそう違わないのであれば、条件さえ整えば、現在有効な支援が行えている地域と同等の支援を行うことが可能になるということでもある。

再度言うが、施設から地域への移行、そして、親との生活から独立した生活への移行において、この『ガイドライン』で想定されている職種の人達が何をしてきたか。どれほどの力量をもっているか。彼らにその主役を演じさせたいと思うのであれば、それを示すべきである。私たちがもっている情報はそれに反していることをもう一度繰り返しておく。

 

(3) 「チーム」という発想の問題

最初に指摘したように、『ガイドライン』他、ケアマネジメントについて書かれているもの全般では、複合的ニーズの存在から「チーム」によるマネジメントが正当化されるという論の構成になっている。

もちろん、何を行うかについて、専門職の助言があった方がよい場合があるだろう。そしてそれは複数の領域にまたがり、複数の専門家の知識・経験を必要とすることがあるだろう。しかし、このようにいくつかの種類の専門職によるサービスを必要としている場合がある。ただし、「複数」が支援の必要性の根拠とはならないことについては先に述べたとして、ケアマネジメントは「チーム」によって行われなければならないものなのだろうか。

ここで「種々の専門職」の「チーム」(による会議、決定)が抑圧的に働きうることを考えるべきである。

『ガイドライン』では、チーム内での相談自体に利用者が参画することは想定されていない。しかし、プランを決定する過程そのものに生活者が関わることが望ましいのは当然のことである。ただ、チーム会議に参画したとしても、利用者がその場で対等であることは難しい。相手の数が多いこと自体によってその当事者は気後れすることがあるだろうし、しかもそれが皆「専門家」だということになれば、さらにその傾向は強くなるだろう。

「本事業では、本人が出席したケア会議が1度だけあった。自分の意見を人の前で発表することが苦手ではない方に出席していただいたが、それでも、様々な専門職が集まって会議を開いている場に本人が取り囲まれているような形での会議では、意見を言いにくかったのではないかと思われた。」(自立生活センター・立川[1997b:4])

他方で、本人の意向が不在のまま会議が行われるなら、それは本人にとって好ましいことではない。どのようにすべきか。後半の「対案」の部分で具体的に述べるが、基本的に利用者の側に立つ人がいて関係する様な職種の人たちに当事者の意向と事情とを伝え、その人たちとの媒介を行うという形が最善であると考える。支援者の間の話し合いが必要であるとすれば、それは支援の方法と支援にあたっての態度が妥当なものかを相互にチェックしあう機会として、支援のための情報を共有する機会として必要なのだと考える。

 

 

 

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