日本財団 図書館


った場合がある。こうした場合、そう普通にあることではないにせよ、上記の洋服とバッグのコーディネートについても、専門のコーディネーターに助言を求めるといったことがありうる。もちろん他方で、一人でそれを行なうことがある。だから、複数のサービスを必要とすること自体が、またその複数のサービスが相互に関係しあっていることが必ずしもマネジメントを必須とするとは限らない。「複合的なニーズ」は必ずしもサポートを受けるための要件ではない。もちろんこのことは、当人が希望する場合にケアマネジメントが行われるとする『ガイドライン』でも認められてはいる。ただ、それでも「複合的なニーズ」が鍵になっていることに変わりはなく、私たちはそのことに疑問をもつ。

そして以上に例示した場合に、私たちはどのようにしているか。すでにいくつかのことを述べた。自分で選ぶことにこだわる場合もあるし、ある程度、あるいは相当の部分を、専門の人と相談しながら、あるいはそうした人に相当部分を委ねて決定する場合がある。窓口の人はー人であるが、その人は関係する様々な職種の人と連絡をとりあい様々なことを調整する。これで問題が起こることはない。後述することでもあるが、ここで「チーム」は必ずしも必要とされない。また、私達はその支援を自らの目的の遂行のための手段として、選択のための情報源として利用するのである。

「保健・医療・福祉」のニーズは上記のような例とは異なり、特殊であり、利用者=消費者にはその内容を判断するのが難しいものだという指摘があるかもしれない。しかし、どんな物・サービスについても私たちはそう詳しいことは知らない。それでも自分自身の判断で購入する。それが可能なのは、一つに、供給者の間に競争が働いており、質の悪いものは(少なくとも長期的には)淘汰されるからすべての人が当該の商品について詳しくは知らなくともある程度の質が保たれるという事情があり、第二に、商品に関する情報が様々な雑誌等によって豊富に提供されており、それに基づいて決定を行うことができるからである。とすれば、この領域においても、そうした方法をとることを可能にする、あるいは容易にするという方向がまず考えられるはずである。

そして、私たちはそのサービスを得るために自分自身が必要だと思う限りの情報だけを援助してくれる人や機関に提供するのだし、援助してほしい部分を自らが決めてその部分だけ援助してもらう。『ガイドライン』で想定されているマネジメントも実はそういうものなのだと言われるだろうか。本当にそうなのであれぱ問題はない。だが、そう言い切れるだけの材料が『ガイドライン』にはなく、むしろ、それに背反することが書かれているし、イギリスのケアマネジメントはまったく異なる性格をもつものである。以下、これらについて述べていくが、その前に、『ガイドライン』が想定する「ニーズ」が、私たちが知っているそれとずれているのではないかという思いを禁じえない。このことを次に述べる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION