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しかし、まず『ガイドライン』においては「複合的なニーズ」の規定自体が曖昧である。複合的ニーズとはいったい何か。次のように書かれている。

A 「介護、住宅改造、福祉用具、訪問リハビリ、社会参加等の複合的ニーズに対応するためには、各種専門職種によるチームアプローチが必要とされるのです。」(『ガイドライン』p.6)

このように書かれる限りでは、ほとんどすべての人が複合的ニーズを有するということになるだろう。他方で、次のようにも書かれる。

B 「障害者が地域で生活するためには保健、医療、福祉のサービスが総合的に提供されなけれぱなりません。これまで、保健については保健所又は保健センター、医療は病院、福祉は福祉事務所等と、サービスの提供機関が異なるために、サービスを利用しにくい状況がありました。在宅生活をしている重度障害者は、複合的ニーズをもっており、これらのサービスをできる限り円滑かつ総合的に満たすことが肝要です。

これらの複合的なニーズに対応するためにソーシャルワーカー、ホームヘルパー、医師、保健婦、看護婦、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)等各種領域の専門職によるチームアプローチが必要とされ、総合的に相談する場としてのチーム会議における協議の上で、サービスが総合的に提供されるシステムにしなければなりません。(『ガイドライン』pp.4-5)

AとBの意味合いは異なる。Aは複数のニーズがあることを述べている。Bは医療・保健・福祉の各領域にまたがるという意味での複数性、複合性の指揮である。まず「複合的ニーズ」の意味合いをはっきりさせる必要があるのだが、十分な説明がなされていない。以下では、この2つの場合について、それぞれ検討する。

 

(2) 保健・医療の比重の過大さ

Bについて。医療・保険サービスも時には必要があるだろう。しかし、少なくともそれは常に必要なのではない。障害をもつ当事者が懸念しているのは、保健・医療・福祉と併記され、しかも、保健・医療が前に置かれていることである。「保健・医療・福祉」あるいは「医療・保健・福祉」と言葉をつなげることは頻繁に見られることであり、「業界」の「慣用句」のようなものだから、さほど問題にされるべきことではないという考え方があるかもしれない。しかしこれはそのまま見過ごすことのできない点である。

例えば脳血管障害で入院していた高齢者が退院し自宅に戻る、その生活を援助するといった仕事は疑いなく必要である。ここで私たちは、イギリスにおけるコミュニティケア改革が何を狙ったものであったのかを想起してもよい。この改革にあっては、日本の現在の高齢者医療においても見られることであるが、医療と福祉の制度間の不整合もあって、医療がもはや必要とされていないのに病院に長期入院している高齢者が数多くいるという問

 

 

 

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