第II部 ケアコンサルタント・モデルの提案-ケアマネジメントヘの対案として
緒言
第1章では、イギリスにおけるケアマネジメントのシステムにも言及しつつ、主には厚生省社会・援護局更生課と日本障害者リハビリテーション協会による『身体障害者ケアガイドライン障害者の地域生活を支援するために』(1996年3月、以下『ガイドライン』と略)を検討する(*01)。
イギリスではケアマネジメントが既に実施されており、そのシステムが具体的なものとしてある。私たちは、イギリスのシステムについては、これと同様のシステムが取られた場合の問題点を指摘するために、最低限度において言及する。他方で、わが国の『ガイドライン』は中間報告として提出されたものであり、まだ具体化されていない部分、曖昧な部分があり、それゆえの問題がある。また、全体として曖昧な中にもいくつか具体的な問題点があり、これを指摘する。
この『ガイドライン』を読む人の中には、この中に、「専門職主導のモデルではなく利用者主体の「生活モデル」」(P.6)といった表現もあり、「エンパワーメント」「ノーマライゼーション」など障害者が獲得してきた理念が見られることから、これは悪くないものだと思う人がいるかもしれない。また、「ケアマネジメント」がいわゆる「縦割り行政」の弊害を解消するものであるなら、受け入れてよいものだと感じる人がいるかもしれない。
しかし『ガイドライン』には、以下に記すような様々な問題点があり、明確にされるべきところが明確にされていない部分がある。これが解決されないまま、あるいは曖昧にされたまま実施に移されるのであれば、障害をもって地域で暮らす人、暮らそうとする人に好ましくない効果を与えうる。私たちはこうした危機感をいだいた。だから、これを検討し、より問題の少ない、より効果的なサービスを提供できるシステムを開発する必要があると考えた。
そして、この『ガイドライン』が障害をもって暮らす人々の生活の実情を反映したものではないこと、サービスの利用者にとって脅威となりうるものでさえあることを、もしかすると、理解できない人がいるかもしれない。もし、ケアマネジメントのシステムができたとして、そこでケアマネージャーになる人が、この『ガイドライン』やその延長線上にあるシステムに疑問を感じず問題点を直観する感覚をもたないなら、このこともまた懸念すべきことである。ゆえに、以下は、直接サービスに関わる人々やサービス・システムの立案に関わる行政職の人に対しても書かれるものである。
第2章における検討を踏まえ、第2章では私たちの対案を提示する。サービス供給にあたっての原則を明確にさせるとともに、サービスの利用者の側に立って利用者を支援する「ケアコンサルタント」を置くことを提案する。この案の基本について1の基本枠組みで述べ、2でサービス供給の基本原則とシステムを示したのち、3でケアコンサルタントを含む支援システムを提示し、4でケアコンサルタント・システムの具体像を明らかにする。