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あろう。もう一つの例は、脳性まひの人がいて、自分では食事を食べられない。食事をするにはケアが必要とされるが、その人が欲しいのはケアではなく機器の開発のようなサポートだ。

複雑な問題だが、経験や知識が少ないとみなされている障害者が何かをしたいと言った時に、親や専門家が規制しても、それを受け止めて失敗してもやらせることもサポートと言える。

 

(4) 私の役割

私の研究は、イギリスだけでなく、国際的に障害者運動に寄与できるよう、また、社会を変革していくために皆を助けて行く役割を担っており、次の新しい段階に進めるよう常に援助し続ける役割を果たしている。1973年の時点では、障害者の問題は個人的なことと考えられていたが、私は社会的な問題であると主張した。周りからは反対されたが、長期的な視点に立った闘いをしていかなくてはならないので、大学に残ってその考え方を広めていこうと考えた。しかし、大学側はそれを必要としなかったので、私は大学を辞めることになった。

障害者観に基づいたコミュニティケアを提案して理論的にも位置づけを確保し、勝利したと思っている。しかし勝ったからといって医療の側がいつまた力を得ることになるという保障はない。勝利があったから問題点が変わってきた。すでにその理論が有効であった状態は終わってしまったので、新しいものを提示する必要が出てきた。

私の役割は、状況を改善することにある。障害者運動を担う人々には、狭い目標設定で満足することなく、自分たちの願望を実現できるよう闘って欲しい。今すすめられている障害者たちによる社会の変革は、「障害者にとって」ではなく「全ての人にとって」良い変革になっていかなくてはならない。それが「障害者のメインストリーム化」である。だから、ここにモデルを提示したのである。広い視野に立って考えて欲しい。保健とか福祉だけではなく、以前のひどく貧しかった状況からは良くなったとは考えずに、それ以上良くしていくために頑張って欲しい。

WHOのポプリン博士が私のところにやって来て、コミュニティケアはどの国でも上手くいっていないので新しいモデルを提示してほしい、という依頼を受けた。ポプリン博士は国連の会議でスピーチして欲しいと言ったが、レポートとしてまとめて発表することになった。WHOのために書こうとしているレポートは、地域から施設へ、そして施設からまた地域へという流れを述べるものになるだろう。ずっと以前に地域のなかで行われていたことの良かった点を調べて見ようと考えている。その中から、専門家では無い人たちの優れた実践の方法を見つけて行こうと考えて欲しい。自立生活センターの誕生や発展は、専門家に対する不満や批判以上の深いものがあると思うからである。

 

 

 

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