これまでに、25ヵ所ほどで実施してきた。自治体の人口や広さによって差はあるが、2万2千から21万ポンドの費用がかかっている。自治体との契約で支援サービスを作ったとき、例えばロンドンの場合には2万ポンドが支払われた。NCILの予算は8万ポンドで、政府保健省から出ている。プロジェクトを維持していくためには年間40〜50万ポンドの費用が必要であり、この費用を確保するために行政との間にパートナーシップの合意が形成されることになった。ダイレクト・ペイメントによって、障害者と自治体の関係に変化が起きたのである。
(5) 支援制度実施のための働きかけ
支援制度を進めるには、すべての人々、つまり地方自治体の社会サービス局と障害者が同じ決意を持っていることが必要である。決意をもって集まる彼らに、情報を与え、訓練し、学習してもらうことが必要である。特に行政は、古い考え、つまり医療的アプローチ、医療モデルを基盤とした障害者観を持っているので、障害者には、自分では介助者を雇いたくないが選択はしたいという無責任な態度が許されなくなっている。行政も障害者も、依存を助長するスタイルを変えていかなければならない。
障害者は将来にわたり、このサービスを利用して何をするかのビジョンを持っていなければならない。そのビジョンを計画案として行政に提案し、社会サービス局に受け入れられれば、社会サービス委員会の同意を得て社会サービスの予算から資金が出る。
支援サービスが予算化されると、一般的には、まず障害者が集まってピアサポートのグループが作られ、どのように自分たちで運営していくのかという制度づくりが協議される。多くは委員会が設けられ、委員長、副委員長、書記などが選出され、コーディネーターが雇われる。コーディネーターは、献身的に必要な支援サービスの制度を創りあげる。
支援サービスのグループができると制度の参加者が増えて、予算も増え、発展していく。予算は3年契約で確保できることが多い。それで良い結果が出れば、さらに信託基金に応募したり、議会や社会サービス局の合意を得て資金を確保してもらうことも可能となる。障害者の数が増えれば、助成金を10〜20%増やして運営資金に充てることができる。
NCILは、自治体が支援サービスに投資するように呼びかけている。しかし、財政難の自治体が多いので、自治体に協力して予算をチェックし財源を見つけるようなこともしている。自治体によっては、単にダイレクト・ペイメントの給付金だけ支出して、あとは雇用者となるための手引き書を配るだけのところもある。それでは失敗する確率が高く、ダイレクト・ペイメントの概念は間違いではないかという考えが出てくる。私たちは強力なキャンペーンを実施し、ダイレクト・ペイメントについて特別なバックアップ体制と訓練の必要性を訴えてきた。支援サービスでは、約50の自治体と契約している。議員のなかにはサービスに関する権限を官僚に持たせておいたほうがいいとして、何も許可しないところもある。